コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

がちがち、バラバラ 7-1

 アルコールの抜けきらない体を騙し騙し、職場に出勤。夜勤組みと交代。顔色の悪さを指摘される。宅間隆史は休憩時間まで気を張りつつも体調は優れない。だが、仕事はそつなくこなし昼休憩の一時間を睡眠に当てることで今日を乗り切るつもりであった。
 上着を羽織り、外に出る。公園は人が多すぎて眠る環境には不向き。朝食を抜いたのでお腹が減っている、軽く空腹を満たしてからのほうが眠れるか。宅間は短時間で食事が摂れる店を通りを歩きつつ探す。警察が張り巡らせたテープは撤去され、事故、事件現場の痕は周辺のアスファルトとなんら変わりない風体で灰色を表現していた。
 ある店舗、ずらりと連なる人の列が道を二列に、並んでいる。飲食店らしいが、店の入り口は黄色いテープで入店を拒んでいる。異様な光景だ。あれはたしかに警察が使ったものだろう。しかし、どうして。宅間は疑問を並べてはその可能性に応えきれない。そうやっているうちに、店先に通りかかった。表では、店員が弁当を手売りしている。ガラス窓の中でも人がばたばたとせわしない動きでスープを容器に注いでいる。中を覗いているといわれた。
「列はそちらに並んでください」細長い顔の店員にお客におつりを渡す会計の合間、宅間は質問する。
「中では食べられないのですか?」
「申し訳ありません。安佐、小銭の束を持ってきて、百円だけだよ。事情がありまして今日は店舗での営業をお休みしています」
「そうですか。それは仕方ないですね」
「すいません」宅間隆史は、店から離れるとコンビニでおにぎりを買い、噴水前のベンチで食べた。眠るのはあきらめた。体力は体を動かさなければ回復する、それに食事も極力抑えれば疲労は取り去ってくれるはずだ。音声はどうにも遮断できないが、まあ目をつぶればさらに疲労は和らぐだろう。
 宅間は三十分ほどうつらうつら眠った。アラームが鳴り振動で起きる。人前で眠ると、起きたときは無防備な体が一気に防衛反応を構築するのがわかる。さっと幕を張るような感覚が、一枚自分を覆うのだ。動物が長時間寝ないのが体感されたらしい。両手を組んで伸びる。体の各所がパキポキ音が鳴る。まどろんだ意識を払拭するために水筒のお茶を飲んだ。見慣れた景色をぼんやりと眺めてまもなく、宅間は立ち上がり本屋で時間をつぶすことに決めた。帰り道で通りに差し掛かる。行列はもうぱったりと消えていた。それにテープも取り除かれている。空いてるのだろうか。思い切って扉を開いた。本屋のことはすっかり忘れてしまっている宅間である。自分でも不思議なほど積極的な休憩の過ごし方。いつもならば、終わりの時間ばかりを気にかけている時間帯。