コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

熊熊熊掌~ゆうゆうゆうしょう 2

「お客様、ご利用時間を過ぎましたが、お客様ぁ」

(ドアを叩くも返事は確認ができなかった)

「プライベートを覗き見る趣味はわーたしにはありませんから」

(ドアが開ききらず約四分の一開いてつっかえる。抵抗が感じられた)

「前もってお伝えしておきまーす。開けまーす。おっ、うん?」

(つっかえ棒の類とは一線を画する、いうなればすっりはめ込まれもう一枚のドア板に引き戸が抵触した感覚)
「どうなさいましたか、お客様!お客さっ……」

 (突如右手の人物から呼びかけを受けた、同僚の遠矢来緋その人だった。何をしてる、でかかった言葉は飲み込む、室内に横たわるお客様を恬然と眺める立ち振る舞いは何かしらの理由があればこそ)
「遠矢さん、お客様を起こして。使用時間を越えてますって」 

(いくら寝ていようとお客様に対する敬意を忘れずに。同僚に呼びかけるおかしな口調が飛び出した)
「警察?なあに、息が止まってるとでも言いたいの?」 

(正直な感想を述べた。この場面、疑り深い警察の尋問に何度答えたことか。私には差し込む光と程よく低い室温に春麗らかな陽気と錯覚し深い深い眠りについたとばかりに思っていたのに)
「おかしいよ。潰れてる?どこがよ、からかってるのか、お客様の前だぞ」

(こびりつく忌まわしい過去を私が言い放っていた。真紅の瞳に睨まれた、私が蛙ならさしずめ同僚は蛇。するとお客さんは蛞)
「とにかくドアを開けなさいってばよ。うっつくうう、はあ。壊れて開かないのは
 飲み込むっけど動けないっていうか、平気そうな顔してる。普通だわよ」

(意識ははっきりと私を認識して、お客様の異状を知らせ早急な措置とは言わず警察を呼べという威圧的な指示を同僚は誤認に打ち震えるほんの一欠けらを持たない。堂々それに確証は感じずにいられなかった。いつも否定されてきた私への擁護も含まれてる、彼女にしか私が未体験の室内のあの場 所と角度を以ってして悟れる境地がある、あってもらいたい、私は信じた)

「動くなよ、その場を一歩でも動いたら窮地に陥る」(エレベーターに乗り、地下フロントに下りた。入れ違いだったの わかる?いいね、絶対だかんね」だろう、館内四隅の階段を上がったかも)