コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

はじめにクロス、つぎにフォーク 2-2

新潟県T市の出身、町の主産業に金属加工業を据えたそこを故郷と仮定し、さらに銀製品を取扱う業者が身内もしくは知人にいたとして表立った順路(route)と密かに通じ特別受注による仕事が仮にさらにまかり通ったとして、あなたが云う血液を多量に浴びたであろう銀製の刀は二順目の机上の融解を経、元が食品に、、、形状を変えたまでは逸脱に耐える。とはいえ合点がいった、膝打つ納得はできかねます。行方の知れぬものへ物証呼ぶはずもなしに折り重ね立体を形作れた、それをそれが憶測と呼ばれる」怒りに打ち震える様態は頂点をとっくに越え進むは下り。呼掛け引留たはこちら、碇泊を促した船である、終いまで見届けなくては。、半分は義務だろう。大概見過ごされてそれら海上を行過(ゆく)、航路(みち)すがら行く先を求められた 教示に潜そむ誤解をあちらは肝に銘じるさ、再度(ふたたび)歩む路を差し置く招いたあやふやな現所(いま)へ、文句とはお門違いも甚だしい。と、いう僕の擁護ではない。正直な感想だ。いつも正直である、そう自負をしてる、心がけている、誤りや綻びがないとはいえない。それでも常人よりか細部に気を使う。日毎体重計で重さを量るようなもの。 比べたことはない。人一倍機会の少ないであろう昨晩の食べすぎや間食に思い当たる食事を、従業員やお客たち世間との差異で以って僕は知りえる先を示す。もちろん、未知に答える場合は決然と断る。もっとも嘘を教える人もまた嘘つきと自認せず答えてしまうが。

 煙越しに資料の霞み、視野に捉える像の変換(かわ)り知覚に着(いた)る。塵の漂う、色は対象物本来のそれを視るか、疑わしい。解釈は瞳のかず限り黒や白、灰色(grey)やねずみ色、明くに暗くも受取る。▭◫◘◧□❒小川は真相に迫りし議論の今か今か集結を目に力つよく、●◎❍●向合う橋口は笑みを絶やさず、・

 

黒き髪の頭頂に後頭がはじく明りの冠(わ)を填め、内に種田は一度入れた諸悪を視界の外に遠ざけ灰皿はつまみ囲う中央の、資料に並ぶ封筒たちへ押し出(いだ)す。

 ❒固唾を飲む、●鼻で笑い、・咳払い。店主はそれぞれが思惑に応えた。

「日本久世の出生に興味が湧いた、これは殺害時と殺害後の凶器の形状変化を裏付けもう一つ、橋を架けた。涌出に目論み実へ転じるただ一人に仕立て上げたかった。はい、彼女は犯人ではありません。橋口さんと日本さんの両名が犯行を認めている。死亡届が出された人物に犯行を名擦(なす)りつけるなど、あってはならない。書類という『規則』は確認、受理。呼吸が止まること意識がないこと、生物としての機能が不全である、死体であることそれらを過去に形、実物と書換えを拒む制度(system)において保管と保護をなす。覆りはしない、その死者(ひと)が例によって犯人に足りるありとあらゆる証拠を兼ね備えるからといえ、『枠』の外へ容易に出ようものならそれ相応の再認を幾つか迫られてしまう。生きてはいない者と生きてはいるが俗世を逃れる者、両人がもしも入れ替わり互いの役処(やくどころ)を交換したら 。どちらにも不都合はありませんよね、もともと死んでいた者は姿、物質たる肉体がありません、相違と空似、別人説の浮上は止められる。俗世を離れた者は死んだかのよう生(いき)る、他人との接点・接触を事前に断つのか変わらず単独(ひとり)であったか、識別に与かる者は当人をおいてほかになし。よって、不都合を免れ交換を果たす新・日本久世なる人物は犯行と逃走という偶然か蓋然どちらにせよ目を疑う披露をやってのけた、その時点で私たちがいくら手を尽し真相にたどり着けたからといって、お分かりのよう判断に優れた聞き手で満足をしています。凶事を摘みとる警察と、安泰を目的に再建の只なか国の定める『規則』のせいで……」

「でたらめをぬかせ!」客間(hall)全体に至渡(いきわた)る、深夜は音と相性がいい。聞き取る音の上限も影響するだろうな、種田は握手(あくて)でもって天板を叩く。「S署が保護する高山博美が、三年前の死亡が区役所の記録よりこの目で確認した日本久世と言い切れるものか、 訂正と発言の撤回を求める」

「口を挟むようで恐縮ですけど」小川も配慮を前面に紡いだ。「私も刑事さんの意見に賛成です」

「 はじめから正当性には欠け尚且つ僕個人の見解であることの強い主張は、皆さんへ薄く働いた。案外それらしい事実に抵抗を感じて認証を拒み、ある『規則』に即した事柄は無条件に受け入れてしまう」

「まやかし。たぶらかすのは止せよ」温(あつ)を忘れる、放射する名残の熱は幕と押流れ、被暖。本質を隠すための冷静かつ沈着に剥いだ表層を拝む、氷像が浮かぶ。冷たくて触れれば火傷をする、そんな人物。取り去った熱の底に冷気。

 店主は次の一本に手をつける、見送るかを数秒悩み、結局は摘み火をともした。前の一本は仲良く灰皿に入り前任者と混(まじ)わる。

「事件の解明に前向きな姿勢とは言いがたい、僕は警察でも探偵でもありません。不可抗力が事業計画に影響を与えかねなかった。私が動くこともまた犯人は想定をしていた、ですからこうして一席を設けた。、ただ思惑は外れた。空いた食台(table)に着く予定の橋口さんは中途参加の変事に見舞れる。とはいえもしかするとそれもこれも予定通りだったのかもしれません」店主は灰を落とす。「黒幕は誰なのか、実にそれらしくもっともな事件に絡む人たちの関心でしょうけれど、僕にとっては際限のない繰り返し、日々、堂々巡りの何順目かという認識でしかありません。どれを抽出し、どこを眺め、 その他の扱い方しだい、ということがいえるのです。抽象は日本久世さんを例に挙げましたからね、摑かむ各々方の間合いは個々人の理解をもたらす。後は煮るなり焼くなり好みを、調理法はお任せします」

「続きを」「店じまいを願うなら 」

「そう来るでしょうね」店主は言い返した。「では、別紙をご覧ください、封筒の中ですよ。 本日の午前便までを対象に国際線が乗入れる空港は手荷物検査場、担当者に訊ねた食器用knife(ナイフ)通過の覚え、その回答です。、相田さんという方の仕事ぶりは右下の丁寧な署名(sing)を読む、苦労に報いた」

 奪い取る、軽く傾斜のつけて、種田は中腰のまま片手指を円卓に押し書類に見入った。鈴木がタイヨウ食品へ出向く間に署名人(かれ)がせっせと電話を掛けていた、資料を手渡す際「間に合って一安心、相田(せんぱい)の協力あってこそでした」、と押し付けがましく添えた。連なる列を尻目に込み合う昼食時(lunch time)の厨房より知った仲の申し出なら聞耳(きくみみ)削いでいたさ。空容器と包み紙は食台(table)に並べられよう、店主は種田の返(かえり)を待つ。

 傾いだ頂上のつまみ逆かさに別紙を乗せ小川のまじまじ資料(それ)に浚う。

「五月三十日。競売(auction)の催しが終盤から閉幕を迎える頃、N国際空港より食器を収めるそれらしき箱(case)が保安検査場を過ぎたと明記はされている(・・・・・・・・)」

「どうぞ。刑事さんの口は開いています」

「knife(ナイフ)は持ち込めません、手荷物に劣る空港便かconveyor belt(ベルトコンベア)の手荒な搬送にさらされる受託荷物の二択です。凶器の類と認定される。海外で頻発するテロ行為を未然に防ぐ手段を空港は講じなければならない」

「『規則』です」「僕の予測に過ぎない、当人が不在のため問いは決し想像となりましょう。連絡先を知るあなたは宛がいそのように訊ねるが、幾日を篭ることか。鈴木さん曰く、痛みを超える睡魔に部署内の長椅子(sofa)へ倒れたはず。 起こすに忍びない、推測して場を凌ぎます。翌日、あぁすでに午前を回りましたか、日は昇ぼり騒(さわぎ)に打つ寝返りの頃が訊ねるに賢明でしょうかね」店主は暮れるがごとく声を止む、仕舞い遅れ棚引く尾。つぐむと目が意思を問う、十二と八の者らへけんもほろろの一瞥。「空港職員は、食器は食器でも殺しに不向きな殺傷には直接結びつかなく連想しにくい、『スプーン』と相田さんの質問に答えたはず。それならば機内へ持ち込める。だがどうして手荷物でなければならなかったのか、不可解な動(うごき)に疑問を持つ。knife(ナイフ)であってもよかった、見体呉(みてく)れがそれらしくあるなら窪むよりknife(ナイフ)と思しき整形に軍配は上がる。状況は逼迫していた」

「真価や値打を見せつけたのでは?」小川が述べた。伸びきる肘は先手首(うな)垂れ山積みひらひら注ぎちかちか橋口と映つる。橋口に資料を見せるかどうか、小川は判断を求めるも瞬く間裏と面に明りが二面は掴取られ、ぷんかさとばん、ひっくり返された。彼の正体を僕は示唆し公言もした、然るべき対処である。

「そうとも言える。だが、人目を忍ぶに越したことはない。落札は古美術の共有界網(network)を疾風(かけ)た。着替えたといえ孕むは過日の凶器。出国、蒐集家(collector)を渡歩きようやく追手を振り払えます。 追加料金を支払い記録を残す厳重な包みは目立ってしょうがない、運び手に成りきると機内に持込めたらば都合が良い」「ああ、手間をかけてもね」

「けれどいったい誰がそんな役目を仰せつかったんですかねぇ?私ならクスリの運び屋を想像(image)しちゃいます」

「高山博美の名が渡航に際し刑事さんたちへ一報の入る直通索道(hot line)を構築していましたね?」店主は片唇を噛む種田に。

「察しのとおり」「正確を喫すなら、不振な彼女の動きを追うと思いがけず高山明弘に出くわす、という想定です。高山明弘の潜伏先を探る、参考人へ過分の法に触れた調べ。国外逃亡となれば引き止め、尋問の機会は許される。足止めが解かれる前に接触を果します、素集道向(system)の不具合(trouble)、悪天候が遅延を空港に仰げばよい」

「かなり強引。国際線の一便足止めって最悪出発は翌日を待たなくてはですよ」、小川が吐く。

「航空会社の謝罪を見越すのさ。そうすることによって出立の理由は高山博美さん自身の口が打ち明けてくれる、これこれこのような事情があった、どういった権限で引止めに遭わなくてはならないの、納得できるよう説明してみなさいよ。感情を呼び水に口を滑らせる、これを刑事さんたちは狙った。本意を踏みにじる奥の手やにっちもさっちもいかなくなった状況を一変させし救済とも言い、一縷の望み、発動に肖(あやか)る。他力仕掛(ひとまかせ)は、 言い過ぎかな」

人差し指の作る影棒(stick)は同意の表われではないらしい。「空港で高山博美さんとのこのこ姿を現す目撃者高山さんは、刑事さんの包囲網をすり抜けたのでしょうかね。まだ国内に形を変えて留まるは脇へどけ、見つからないように国外へすぐさま持ち出したかった理由はふぅん私の理解を超えてるんです」眉が睫毛に迫る。「店長たちはさらっと、その辺を暗黙の了解みたいに流してます」

「 形を変えざるを得なかった。ここまでで、首を刎ねた形と剛性を備えたknife(ナイフ)の保管を凶器と誰が目に明らか、言い当てられる。何より血液が付着してる、調べられたら一巻の終わり。嫌疑の外が理想だった。前に、了承は取りつけた。至るところに備(そなえ)が垣間見える。 日頃より稼動をする金属加工場は限られる、虱潰しに名簿(list)を当たると整形を請負う工場(こうば)は見つかるだろう」

「そうか!だぁから、分ってしまうようあえて故郷を選んだ。飛びついてもらえるように」

「飛びついて、」店主は囁(ささや)きなぞる。「願った。目視を隔てた境目は右より左に忘れ蔑ろにする。思惑に適い死人に故郷と、僕らは不気味な足のない幽霊(かた)の足跡(そくせき)を追いかけていた。生前に関係を築いた新潟県S市の金属加工場は日本久世さんの存命を、疑いもせず、仕事を請負うこととなる」「血を含む凶器は直に渡す、もしくは宅配便が工場へ届ける。国内の規定に金属類を禁ずる項目はありません。、知らないことの方が多いだろう、小川さんの興味に僕がそれよりも先に関心を寄せた。 、紙幣を入れる封筒へ、送付を促す。、がこの他の送品に関し生鮮品は当然除くとして定めた重さ、大きさに収まれば、届く。金属もしかり。加工の施す凶器は工場を出、国外へそのまま凶器は姿を消した」

「橋口さんはじゃあ何でまたぁ、……罪を認めたのでしょう」警戒心をいつの間にやら緩めたらしい小川は彼を訝しむ。牛鈴鐘(cowbell)を鳴らさず通り抜けた、物的証拠を亡者(はんにん)に見せつけることは不可能。血迷ったとしか思えない黙ってやり過ごせばよくてここで良心に従うぅ?、手に取れた、彼女の疑念は泡と沸く。

「僕を間に選定と凶器が見つめます」店主は煙をたんまり吸い込む。ゆうるゆる、真上に向かう煙。「珍妙な訪問客を迎えたここを訪れる警察が捜査は予定の内、想定された計画の一部だったでしょう。雨合羽(raincoat)の一人目の女性(かた)は三年前に死亡した日本久世さんか目撃者の妻高山博美さんのどちらか、knife(ナイフ)が凶器であると自覚せよ 実(まこと)しやかな別世界の殺人を僕らに植えつけた。小川さんがうっかり口を滑らせ警察に流れ、細く事件に繋がりが生まれた。一巡目に日本正または高山明弘の震恐扇情(censational)な振舞いが発覚。店の責任者に問う健康障害をきっかけに一人二役が表へ出る目算であった」

「高山明弘さんなる人物はあの世の者、店長は間接的にそう言ってますし聞こえま、すけど」

「どうかな」口の端(は)に煙草を咥る。なるほど、煙管(pipe)なら火種を囲いに任せられ燃焼も穏やか吸引こちらの思うまま。臆面もなく過去を改めた、あざとく見つけ出せばよい、その席は昨日と同じ車両でありはせぬ。「久世さんの暗誦(speech)が紙面を飾るも垂れた頭に髪の被さり一写(いっしゃ)を避けています。過去に受けた海外誌の取材に容(すがた)を抜く掲載頁(page)を文字ばかりで埋めた。学生時代へ時を遡ることは肖像権(privacy)に関わる、整形など顔の造作に手を加えているのかしれない。生年月日を遡りました、彼の両親は七十を越える。若くと六十代中ばでしょうし、ええさらに上ということも。彼は度々帰郷したでしょうか?少なくと六年前に共同生活を営む、、同居と育児ではおそらく、眠りを捨てたとてことあるごと気は散らし満足な没入に浸れはしません。両親たちは死別ないしは離れて暮す」

「確からしさの対岸に居るが想像である」静境すみやか熱の引く。精査取り、天井の捉えた黒目を追いやる種田は白目の増えること。煙の行く先に惹かれるのではあるまい。

「確証は、ない。疑わしき筋道を取り上げた、これで二回目ですか、ね 」

「調べてもらいます」望むところ、打ち返す球の用意がある。「鈴木さんならば今頃、世界自動車連盟主催六時間耐久競争(race)を視聴しているでしょうから」

「うわぁ、忘れてましたぁ」小川安佐は慌てふためくと思いきや、立ち上がって再び着席した。事件の真相が走行競(race)を凌駕(こえ)た。種田が一時的にせよ議論の場から降りたことで店主の解説は小川へ向けられた。正面の橋口は悠長口の中を空けるに飲み込んだらば性懲りもない、細断が付く干し貝柱は封を切った。

 小川は煙草の灰を指す。終(おわり)の一口を教示しようが、円卓に品々山々彼女の目を写す。首は振れて誘惑落す。瞼が続けざまに切られた。

「 店長の関与はいずれ明らかにされてまず、事件の目撃者を怪む刑事さんたちは借家(かりずまい)に張り込むも、嘘の情報を摑まされてしまう」小川の人差し指は確かめるよう灰皿が借家に見立てる。べったらとまあるい家(うち)。「次にですよ、北口を駆け出る人を犯人かしらと注目するも解像度が低く足取りは途絶えた。ここへ戸(door)の点検、清掃車の故障、南口、の新事実が出そろい、南口の外(ほか)は冷徹な私から納得を勝取れた。ただ、凶器には首をひねる。だけれど店長の解釈を借りてです、傘として遺失物管理に留まり数時間の後回収されたのなら、辛うじて私は許せちゃいます。町中を彩る『PL』の傘は殺害計画の一役を担うのか頷けもする。 狙っていた……店(うち)を敵視するみたいにわざと裏通りに構えたのは敵対(rival)心と切磋琢磨の相乗効果が目的ではなかった。殺害のために開店ですとぉ!?」

「どうぞ。続けて」しゃべりすぎた、小川の気後れを除く。煙草はもう根元に達していた。

おずおず彼女は応えた。「店長が事件の薄ら端に現れだす、ふらりと夕食備(idle time)に来店し事のあらましを伝えた。答えてもらえないだろう、行き当たりばったり、門前払いを想定していたところへ承諾をあっさり貰えてしまった。不意にそこでだ、訪問者と『PL』の関係が打ち明けられた。おおうっと、えと……要するにです、明けても暮れてもお客本位の店長が八方塞りの打開策を気前よく教えてくれるなんてと思っていたら、あろうことか仕込みの手が止まり席に座って話をし始めた。ゆるゆる緩るみ紐と結び目の一端を撫で、『規則』や個人の性質などだくだく合流しますは予測される血の通う動(うごき)に、まるで導かれて事件を挟ませ現在を迎る。だとすると、店長の気まぐれも読み方によってしまえば幾つかの前置きがあって、話を聞く態勢をとってしまったのでは、なんとなく私見ですけれどぉ思ってしまうのです」小川は照れ隠し、ぺらべら意見を述べた自分(わたし)を隠すよう煙草に火をつけて、種田には走行競(race)の状況を電話口の鈴木へ尋ねて欲しい。

「差し出がましく一言述べさせていただきます、 」

「そこまで」店主は橋口の表明を断つ。くっきり僕とその座標を捕捉する、敵意の影に知れた殺意の棲処(ありか)。受話口の押さえた種田が絞る音量。

「あなたを夜分私は迎かえ、私事(しごと)をこのよう片付ける。肩身の狭き着席であることを忘れられは困ります」

「私は犯人ですよ、犯行を認めます」 

「刑事さんっ」燻る隠れた火種が延々再燃(もえ)てみせ、身振りに手振りの小川は向えの種田に急を知らせた。が、期待に背向く応答の定まり確か左右どちらに振れもせず。中庸鈍らす聴覚の、ぞんざいに扱おう。彼女の空いた片方が呼掛を聞取る。それほど鈴木との受受受発が目下の急務といえる。もしかすると鈴木は気を働かせ研究者に就く以前の日本久世を調べていたのかも、言葉を発しない種田を見るに通話相手の鈴木がまくし立てることは確かなのだ。

「橋口さん、あなたは刑事さんの次に出番を控える。着席を促した僕は解説の手間を省いたのですよ。口を開きたいなら一度退店を。私たちは明日も仕事が抱えるのです」

「ほう、皮肉ですね。明日を憂う私の未来は行止まり、折檻(おりおり)と暮らす、雨に濡れて風邪を引こうと生きて出られる年齢をはるか越(こ)え刑期を勧告(いわ)れる」

「いいえ。あなたは犯人でありたい、という願望を持つ目立ちたがり屋で得意先を後ろ足で砂掛けようと結びたき大口が契約と人々を踏み台に蹴落そうと輝き増せば磨き粉の、本分引き出す自社が売名にこの身を捧げたい。それほどまでに会社を敬愛するか、もしくは恩義に溢れし世話のかけ立ち行かず崩れそうな生計を持直せるだけの助力、生きる基盤を作ってくれたから、そんなところでしょう」

「骨の髄すら見通せようとは……、私とは初対面のはずです」橋口は動揺を見せた。店に入って初めての揺らぎ。 

「思いついたそれらしいことを的確に捉え当てはめたがる。事実の変り種(variation)は実のところ密集している。目を通す置き土産の紙面を連日の事故死は飾る、見逃しがちな交通事故では日に一人の死が真実として載る。またさ、いつものこと、驚くものか、いられるか、心機を沈める働(はたらき)を無意識に促ながし生成する、動揺(shock)のもたらす玩(あ)そぶ変位に構えるためです。失策を怪しむには相応(ふさわし)い証拠が求められ、仔細に疑わしい箇所が探索は車両へ向きます。健康を物語る検体が発症を否定すると、作為と過失を除き機構の不具合や部品の不良に疑い、更なる検分にのめりこむは証拠らしき痕跡など見つけようものなら、人はそれを事実、真実、要因、源だと信じきってしまう。それらしく思わせることは容易です、事実は人の数ほどとは到底、むしろ同系色が決まって選ばれる。、見逃しているのです」

 道理を説いた悔恨など持てようはずもなし。意識を握手には言語道断、己への侵略をそれは無条件に認めていることと変換されるのだから。

 橋口は元の鞘に戻どる。咀嚼物の平らげて、発言にかまけた時と回数、内容物がおざなりになっていた。

 端末をしまい、種田が言う、。声、通話口を漏れ出す。彼女の時機(timing)で、終話に至ったことが伺えた。

「家族と死に別れ、新潟県T市へ移り住む。親戚の伝を頼り、血の繋がりはほぼない。大雑把な表言(ひょうげん)は丸のまま世話人たちの態度を現す。聞けば偽証を諸共しない頑な情を鈴木さんは感じた、私見とあらかじめ断わりありのまま伝えます。 好かれていた、言いつけを忠実にこなす彼女は重宝され工場の成員に数えられた。学業に勤しむ傍ら授業を終えた深夜までの空き時間を仕事に費やす。大学へは秀でた非凡な才を発揮し入学金の免除と返還の義務のない奨学金を得る。 ずさんな管理が招き従わざる体制の目に余る、明らかな無駄(loss)を手始めに見直すよう指南が飛ぶ。日の製数を踏まえ彼女が割振ると、潜む需要が顕われ、受注数は約三・五倍に増えた。日々張詰めた管理の下で職人たちは定量を生む目算が立ち、定休が取れるようになる。それまでは迫る納期を先に闇雲に数をこなす切羽詰った状況が懐かしい、とのこと。佳日影(ノスタルジー)は語り、しかし久世さんの出生に関わる詳細はむんず口を紡いだ。 守られていた、 愛されていた。大学の学生寮に住まいを移してから一度も顔を出さなかったことでしょうけど、それまでを思い、溢れる恩は返えり零れていた。 頭が上がらなかった、忙しさゆえ連絡は、取っていたい」「可能性は高い」

「疎遠は複線だったぁあ?」小川は言う。

「いや。たまたまだろう」種田の黙認を確かめ、店主は答えた。「もともと過去を利用するつもりはなかった。僕の凋落が銀食器に重なるや作戦が思いついた」

「思いついたって、一体誰がです?日本さんかそれとも、入れ替わった高山博美さん?」

「どちらが生きてる人物か、。彼女たちは丁寧に処分しただろうね。病院に残る病歴一覧(カルテ)、歯の治療歴等は習慣のよう無条件に廃棄した、させた。高山博美さんも家族や親類とは疎遠のはず」煙を吸った、青白く息。「もし高山博美さんが生存するのなら日本正さんがかつてを聞かせたもしくは、関係は前もって結ばれていた」

「うちの店を潰すべく食器の回収と殺人をやってのけた……。発覚(risk)と引き換える願いとは理解を軽々超える、それに、日本さんは自白をしてしまう。居合わせた確保の現場には刑事さんの報告だと、女性と子供がいた。世間の出来事に疎くとも店長は言い当てた、つまりその女性(ひと)は一度物語に登場(あらわ)れた人物であってそうすると高山博美さんか久世さんが適当です。しかぁし捜査の手が伸びる空間でのうのうと生活を続けるなんてありうるでしょうか、久世さんは逝去した人で高山博美さんは行方知れず。不可解なままであり続けなくてはならないのでは?」問うた口の開きに投げよ、答(こたえ)傾げる首の待つ。話すうち怒りを掘り当てたらしい。

「女性と子供を庇う、日本さんの機転が咄嗟に働た。小川さんの云う疑問に備えたのです」 「行渡る『規則』に忍ばせる日本さんの企らみに、橋口さんがその仕組みに便乗した。注文を取り食事を運べばS駅の事件はおのず日本さんの耳へ届く、僕も世間に疎いがその一報は店に立つと耳が拾った。『PL』のお客が延々喋ったでしょう、『規則』を借用しなくても、まあ自発に任せたと思う。  日本さんは気づいてしまう、自分の言葉が命を奪ったかもしれない、と」 

 闇に食べられた。粉々。言葉は戻る。

「店長みたく解決に導けた助言を過去、日本さんも警察に求められてたとでも言うんですか?」漂う語尾を三度廻り名前を授ける。

「資料を見て」会話文の次を言う、皺が走る袋に照れ屋の一枚は保持にあぶれる。まちまちの髪が振れて二人は体温を測るほど額の近さ、橋口はそっぽを向く。あくまで商談に訪れた、末席の話題とは部外者をまだ演じてるか、。

「雑誌の複写(copy)。『月刊MAKING』の七月号。今月号ですね」小川の、数秒前に摂取を終えた。写(うつす)、紡(つむぐ)、掬(すくう)。稀にいる、同族に会おうと共感を引出すはずもなしに。店主は風が起(おこり)に預けた。刑事の影(かたち)が用紙へ落る。

「日本さんの態度が変わります。前言は究者が解訂(とい)た、彼が軽々しく信念を曲げるでしょうか。 それは音源に手を加えず書き起こした、はい、修正が入るのはこの後です。取材は一度行われていた。これは二度目である、と雑誌の担当者は答えています」

「たしかに『大変な失礼を過分に余計な時間を設けてこのよう担当を私が代わる次第』。店長と似てますね、改善策を求めるところは」

「彼の求めを、印刷所に送る入稿源字(data)の配送・送信の許認可と思惟(しゆ)い、畑違いの人物を宛がった。読者の目を持ち、日本さんと同程度の識者を担当に選らぶ」

「雑誌記者(そのひと)を通じた警察の動静を日本正が得られたとでも?」ありえない、種田は巧妙にも計かる軽挙を含ます。敏感な小川は受け取り、言葉のみ店主は掬う。

「人間を断っていた。機密、報道を問わず知りえる機会は唯一、この担当者との接触が妥当なのです。市民より警察に寄る経緯を聞き及び、彼らが久世さんもとい高山博美さんの犯行を知りえていたとは、十二分にいえる。証拠を残したくはなかった。そのため、訪問前の電字送受(mail)は概容に留めて日時に落ち合う場所のみをやり取り、問答は始から終まで『口腔巡合(food pairing)』に徹したかのよう、録音をこれみよがしに見せつけた質疑(interview)の開始をやってのける。他在実(performance)です。取材が始まるまえ情報の交換は済んでいたでしょうね。慎重を既す、雑誌社には秘密を握られはしましたが、増刷なるうれしい悲鳴には代え難くしかも担当者の功績に、代役という急場を凌ぐわけですから、個人へ表彰や称えるなにかしらの優遇は意思によらず予想されてしまう。そしてなにより『規則』の流用を確かめる大儀名分を日本さんは背後に忍ばせます、ほとんど怪しまれずに情報の取得は為されたと考えていいでしょうね」

 小川がこんがらがる配線の色と差し込む穴を丹念に確かめ、時々視線が上をみる。

「、日本さんは事件の大まかな概要を知ることができて、、あろうことか犯人がわかってしまった。そうして自らが罪を被って犯行を認めた。しかし その前に同居人たちと一緒のところを刑事さんに見つかってしまい、自首を怪しげな同居人というおまけをつけて発することとなった。刑事さんたちは傘についてその詳細を尋ねるつもりだったから、行動は慎重ではあったけれど令状は取れず手ぶらで乗り込んだのに、勘違いを日本さんはしてしまった。まあ、いずれ訊かれるのだし、警察もいい線まで近づけていたのであれば、です。捜査の進捗状況をそれとなく聞きだし犯行を認められる頭脳は、雑誌の取材からもその可能性は大いに高い。私なんかよりも何倍も考えている人でしょう。うーん、だけれどもひっかかる、なぁ……頭脳明晰なその人が罪を、被るんでしょうか。尻拭いとはいえ望まぬは態度が示すのにこれみよがし、場を押し付けられた、男の人はそういうのを嫌います。それに、不都合の影は透けて見える、理知的な科学者だったら反発しそうなもの。刑事さんは店長を訪ねた、非情を覚悟で。……すっぽり、見落としていたかもしれないですよね」語尾は投げかけか同意までかは図りかねた。ひたひたと窓の雨は募る。昼食(lunch)時の行列に似せて張付いた店内を覗く顔カオ、かおかお、顔。

店主は一口死へ近づく。 空調は規則正しき働らき、気配の明るさ借りた偽装(カムフラージュ)と変態。「綴じられた稀史記(けしき)がある」言葉とそれはするする天井、開く隙き間(slit)が吸込む。

「日本久世さんは高山博美さんだと断言するんですね、ようやくかぁ」感慨もひとしおに小川が声の弾む。

「いや」「 彼女たちの何方(どちら)かが何誰(どちら)、というのはもう判らなくなっている。それを計る明確なものさしを、僕は手放してしまった」

「あー、わすれてた」「DNAの解析に託す物的証拠は今だ待ちわびるのでした」

「七階を住居に一階は、世に知れる店を構えて、二階の二部屋も借りていたらしいね。物件の取扱い店舗を訊ねる鈴木さん曰く、二階は今月の頭に追加の契約を申し出たそうだ。建設会社の自社tall building(ビル)がかつての姿、人の住むつくりではそもそもなかった。一階に活気が戻るなら二階から六階は改装費を投じて借り手を募る、とはまだまだ現実味の薄い他人事に留まる。飲食店『PL』の賑わい、自店(うち)と同じ程度(くら)いの盛店に変貌(ばけ)けた暁には検討を飛ばし取り掛かるつもりだった。巧み。代謝を常とする巷の趨勢を見定めるに、隔年の更新周期(cycle)には具合が好かった。 満期の末は否応なく立退に従う契約と聞きました。部屋の空き利用にはもってこい、風呂のない住環境で納得するのならと相場の半値で、部屋を貸し与えた。これが契約書の写し」始末を焼却にて了とせよ。閲覧ののちに跡形無くを条件に鈴木が手渡した。白衣(はくえ)の裏(うち)、箱の線が写し(かみ)に入る、三つ折。

 印字の掠れる、黒粘液(ink)過多に溢れる字のうっすら斑を刷込む用紙が手に取れた小川とそれ、またもや要所のみ抽出したる速度で以て種田は影の後(ひ)く。宙空留る用紙越しにはまたもや傾聴退(さ)けるべくそっぽの向く橋口は視境に収る。

咀嚼を済ませ喉を鳴らした。 

干した貝柱は飲み込んだ。

 同居人を記した欄は白紙のまま捺印を隅に頂ただく、朝の日を迎え背負いここは訪れる。よって管轄外の刑事たちが思いがけず遭遇した女性と子供は、法の抵触を免がれる。尋問という取りつきは失われたのだ。 蕾の間(うち)に思い至たる、黙りこくる長考は次に投じる一恵を、模索。厭わずに連添う過去(うしろ)を捨てられる、従業員たちは見習うべきだろう。風の止む、熱が冷め、口は結ぶ。今日一日は煙草を控えるとしよう。時刻は午前一時を回ろうとしていた。

 あれを待っているのだ、やって来てはくれまいか。導入部、配ばる気力はもう底が見える、平身低頭は見せてもいい、みっともない姿をさらすことはいとわないさ。けれどここは、思いもよらず出入口(door)を押開けようなら途切れかけた集中は新しい風と捲かれ緊張を纏い細胞の入れ替え、老廃物を追い出せ栄養を勇んで出でてよ、見開けば爽快、気分は充填されるのに。

 雨脚の強く、外の往来をかき消す。薄く緑の厚い窓硝子も助けて、やって来たその姿は牛鈴鐘(cowbell)を差し置き突然と思えてしまった。 訪問者である。

 扉(door)が閉じて周期の短い抑えた音は一同の首を出入口へ向けさせた。