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「重着り」 プロローグと1章1~6までを掲載します。

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持ちものに問ふ。あらずと良い、あれば好き、なきはなし。天罰にいい気味をひそか、声の殺した揶揄が起ころうはずが、ありし日他者より分かつ。天の恵み。ひたひた熱き雲と生ぬるく、時と涼風を運び、林のごうごお揺れる。植わり天与りの頂はいつ果てるとも、いまだ空へさす。解きと放ち人為はとっく、。さくり、さくり。鍬の入いる。くすぐり鼻、終わる陽には平時となす。潮風に比すれば、なじみ早きこと。

 種を、まく。種、をとる。

 怠り今更、重く事態を受けて時の過ぎる、動きは過敏に先をばかり、その眼に映る。与げた。暴挙、囁きの聞こえ、無謀、けれど特別といえるものか。授かり育てた。方々が奮起をするのだ。足元の崩れ谷底、「私」の益が損なわれます、棚に上げた肩はいかり、方々を向く。瞳の開き、血走り、唾のとんだ。私が彼らへ譲り渡した交換物である過去を過去に置いて者の口が平気でつく。このもの、公然とにじり寄り罵声を浴びせ、このもの遠目よりじとり伺い人気なしに手を添えて苦言を呈し、このもの興味の素振りもそっぽ背と横腹を見せては無に語り高く圧し掛かる。あわや、指先が支え。

 手を放した。驚きが遠くと駆け巡り耳の目の塞ぐにも隙間を探り当てて。穴が開いた。日に二枚が近頃の陽気と合う。雨を待ち、町へ出よう。いらぬこと、些末だが、先々を記す、比べようがあってか。

 西の山が雲と戯びはじめて、もうじき、上は雲と広がる。架かり山の東へ跨ぐ、目の裏に厚く大判の幕の伸る。押し分けて熱を頬へ風の起り、水を誘う。「好し」とつぶやくは私か蛙、大粒を見上げ待ちに望む。有害を含もうと、撒い散る飛沫は風上にも、一言と断じた覚えは、。

 夜の空が、あけてまて。

 見られよう、身綺麗な物と着て向かう。きらぎらと、ぱちゃはちゃ、ちゃっくちゃちゃ、跳ね上げる。水溜まりをより浅く土よりは締まり岩のより、受止める。

 怪訝な顔にその造りを返した。対価を携えるものへ、あいだ口を開くというのに。予期せぬ、道端であれたら。いや雇われた体、私心は失われ息がつながる。

山と、抱えた衣服を背負う。冬の装いをついで、買いそろえた。あれとあれがそろそろ、降雪に諦めのつく頃寿命を迎える、空いた穴が常々と思えてか。夏のようには、染みてはもともこも。

 穂の出て稲わらが遠おく帰宅を歓び、月夜とそれらは戯れてはしゃぎて。生き物の隠れて鳴き、声は耳元より姿は隠す。なかは見えず、過ぎて車。明かりの別れを見送り、首へ倣い、開いて対岸へ。濡れだまりは夜が隠した、先を水に向かう。狭間。

 前照灯、送り尻を光りに、振り仰ぎ隠れた陽が地上に降りていた。敷地へ踏み入れる下り、たった、傾斜に任せた足の運びは私へ急ぎゆっくりはなりません、身勝手でけれど正しかろう世の常。濡れた、これはもしや当然でありはしないのか、泥濘んでここは曲がる光線を落ち窪む底へ映し、反射(うつ)し、足早先を行く雲とに、避けよと教えた。 

 種がほしい、という。作物なら開けた戸の、男へ告げる。どちらが良いか、「選べ」ざくざく金貨とぺらぺら紙片。じゃらじゃらにとんとん、にやにやの口としたしたの心、晴れ々の空とくたくたの私、かくかくにしかじかの返答が車をせっせ、追出した。