コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

女性事務員が現れ、今度は種田が間髪要れず退出を言い渡した。またしても、女性事務員はあっけに取られ、顔を引っ込める。威圧による支配は浅ましい行為だ、だがこの瞬間は譲れない。
 勝手に終わらせる?笑わせるな。事象には必ず補う理由が存在する。あいまいで不確か、都合のいい解釈ではないか。私は認めない、事実だけが味方。
「黒幕が本当に存在するのでしょうか」抑えた口調を保つ。「実に体のいい解釈に思えます」
 意見を求めた。理知的な種田が詰め寄る。彼女にとっては本能的な振る舞いである。なりふり構っていられない。息を吸い込んだ、膨らむ胸郭、睨みつけるであろう瞳、真一文の口を開きかけた。
「ん……部長!」上司の熊田が喫驚、声を発した。ドアは音もなく開いたらしい。途端に挑みかけた彼女の気迫が摺り落ちたベールのように逃げ去ってしまった。
「はへっ」鈴木が目を覚ます。張り詰めた空気は元には戻らない、開け放たれた、ドアから物理現象として圧力差による移動が行われて、しかも喫煙に出た相田までもが部署に戻ってしまった。
 書類を整頓することなく無造作、トレーにしまわれた。しまった。鈴木の背後を講義を抜け出る学生のように部長はひとつ熊田に頷いて、相田には肩を叩き、入り口の通過をを譲ってもらう。彼自身がドアを閉めた。身についた礼儀の賜物を上手に活用した、彼女にはドアの開閉に無頓着で横柄な人物は揺らぐ感情を周囲に判らせるときにとっておくのだろう、と。普段は落ち着き冷静であり、たまにとぼけ、上司らしい態度と行動に出る。標準が最も理にかなった機能だとを知り尽くしすのか。
 とはいえ、訊きそびれた。取り逃がした一度きり。
「悲壮感が漂ってる。何かあったのか、部長と?」熊田が尋ねた。
「いえ、事件についての討論です」喉を出かかる問いかけの尻尾掴み取り中へ引きずる、奥の奥へ出てこられないようしっかり縛り付けた。これでいい。尋ねるならば私に問いかけろ、種田はまだ熊田の推論にすら導きを考えあぐねていた、弱さ。これから本腰を入れ着手する。ようやくだ、頼みの綱を切り落としてやった。それから部長の言い分を吟味するべき。なんにでも順番に厳しい世界だ。
「そうか」いつもながら熊田はそっけない。
「何か分かったのう?」いがらっぽい声で鈴木がきく。
「いえ、特には」
「部長いたんだったなあ」、と相田は席に着く。
 タバコがくすぶっている、思い込んだ私が浅はか。デスクの上は、書類が一枚乗るだけで、灰皿は種田の隣の熊田のデスクに、空き缶は鈴木のデスクそれぞれ置いてあった。