今日から新しいシリーズを掲載します。最後まで読んでいただければ、幸いです。
<恋愛要綱七か条>
第一箇条・恋愛感情、溺れるべからず。溺れたら最後、後戻りは不可。
第二箇条・情意はうちにとどめるべし。
第三箇条・体内にとどまる場合において、その存続は許可される
第四箇条・発汗を伴い自然に放出される、時を待て。
第五箇条・見る見る肌のキメは整う、一時的な効果、永続性を見るな。
第六箇条・満ち溢れる精神力は、対象者以外に向けて散らせ。あくまでも対物質へ。
第七箇条・芽吹いた花芽を抱えて、起こしかけた行動を控えなさい。引き返し、体内で想い味わうべし。
ぐるぐる、つるつる、うじゃうじゃ
1
平日のうらぶれた昼間。膜が張った空の緑。渋谷の交差点に降り立つ私は襲われる、いや見事にこれまで不満だらけに嘆く私を、意図も容易く拾い上げた先週を想い、こうして今日も平日にも関わらずビルに遮られた日光の境界線とつま先を合わせて、景色を眺める。不満そうでも、しかも怒ってさえいるような顔ばかり。
ばかり、という表現は不適切よね。甲冑のような鋼鉄製を思わせる兜たちに表情を求めるほうが浅はかってこと。
探す。けれど、効率的な探索法とはかけ離れてる……。
駅ビルの一階を支える柱と柱の間。鈍く光る甲冑姿の市民が軽やかに街中を闊歩、見慣れた光景といえばそれまでね……。
キクラ・ミツキの肩が落ちる。肩に倣った首も地面のタイルと向き合う。
紫外線が大幅に増えたのは、十年前の八月一日が始まりだった。
ヨーロッパの戦争を思わせる光景が、私たちの日常に成り下がった。保護機能に特化した薄手のスタイルが隆盛を見せたかと思えば、紫外線量はその年の冬が訪れるとひと桁も上昇した。世界各国に無料で支給された薄手の洋服に皮膚への侵食被害が報告される。全世界の主要会議が機能性の高い防護服の製造に乗り出したのが、翌年の一月である。
新年の祝い事はほとんど行われなかった、と彼女は過去をなぞる。オゾンホールの拡大が主要な原因だった。だんだんと狭く、小さくなっている。この報告は学者が世界を股に掛ける大企業たちから、依頼されてやっていたこと。名声よりも報酬を選んだとか、研究費用・設備を選んだとか、著名な学者の行方はいまだ知らされていない。
紫外線量の増大は、各方面であれこれと言われ続けていたけれど、決定的な確証はメディアで報道された。私たち市民には嘘でまかせの類しか、寄せられないもの。多くの人は、台風や地震など一過性の災害だと、決め込んでいた。私もその一人だった。外出の際に長袖を着て、帽子をかぶればいいのだ。三十度を越える灼熱の屋外でわざわざ皮膚を焼くために半そでの姿で外に出る人の数は、前々から減少傾向にあった。子供は近くの廃校が遊び場所にしていた。少子化が功を奏していたの。私が通った学校も、親が仕事から戻るまでの遊び場になっていた。