コンテナガレージ

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ぐるぐる、つるつる、うじゃうじゃ  4

「あのう……」状況の飲み込みが遅い、急速だっためまぐるしい変化に緩急がつくと、こうも人の反応は鈍るものなのか。彼女は瞬きを多めに、視界に映る三名が不鮮明に、音声は遠くから聞こえるようだった。
「頬の痛みについて、言及しませんでしたね?」諭すように中央の長男が切々と語り始めた。「恐れながら、こちらが設けたハードルをあなた様は見事に飛び越えて見せた、無意識にであれ、それはあなたの資質であります」
 ハードル、頬の痛み。そういえば、意識を失った原因は小柄な長男が振りかざした拳。言及……、怒りを向けなかったのはどうしてか、という意味だろう。私は乗り越えた。単純に忘れていたともいえる。男は続ける。
「第一の関門はクリア、次のステージへお進みください。この先、待ち構える難関に一人では対処が困難だと感じた場合、私どもの力を使ってくださって結構です。お坊ちゃまからのわずかばかりの心遣い、と受け取りなさいませ」
「ゲームにで巻き込まれた、そんな言い方ですね」ミツキは突きつけられた、しかも既に完遂してしまった行動に対する結果、結論を受け取りあぐねた。とりあえず、嫌味を含んだ返答をして、時間を稼いだ。その隙に彼女はめまぐるしく頭を働かせた。
「この世界はゲームですよ、お嬢さん」三男が言う。「僕がこうしていっぱしにご飯を食べられて、ベッドが与えられて、あったかい部屋で眠れる。ゲームに買ったからですぜえ」
「体力と深層に降り積もった真理のステージは攻略なさいました。私どもはここでお暇させていただきます。それでは」
 来た道を引き返す三人、当然ミツキは浮かんだ疑問をぶつける。「ステージって、大体何ステージあるのか、攻略って次もあなたたちみたいな人と、付き合わなきゃなんないのよ?」
「投げかけたのでしょうか、それとも今の問いかけはステージに対する質問を受け取るべきか、お答えを?」首をかしげた長男がきいた、何もかも知り尽くした表情が兜の下に鮮明に浮かぶ。この人は自由に力を使え、といった。だったら、彼女が押し殺し、飼い殺しかけた干渉を思い切って、取り出した。
「質問よ、答えて。次のステージの場所を応えなさい」
「……承知いたしました。これより、移動を開始いたします。お手を拝借、よっと」メタリックな手が触れたかと思えば、彼女たちを取り囲むサークルが出現。

 巻き起こる風、色めき立つ空、景色の配色がばっさり途切れ、重力が抜けるように失い、私は瞬間移動へと連れ込まれた。