コンテナガレージ

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至深な深紫、実態は浅膚 6

 事件を手に取る。

 もてあそび、穴が開くまで見つめ、おまけに投げつけてしまう。

 観察に徹する。

 判断はしない、先延ばし。そばに置いて、飼い殺し。

 ライブのデータは少ない、ゆえに判断はツアーを廻りきってから。

 検盲法を採用しようと思う、お客は果たして曲の正体を掴み取れるか否か。終わってのお楽しみ。

 不謹慎ではない、人が死んだ、それは常に今もこのときもどこかで起こる悲劇。

 それでもこうして受益と危険を天秤に、年間数万人の自動車事故の実態に目をつぶり時間短縮を人質に、間違いなく死を望んでいると、私は思えてしまう。できれば、死にたくないの、殺されたくもない。生きていたい、やりたいことはまだまだ残っている。

 軽々しい発言と思うのなら、まずは自らの両足を今一度再点検するべきで、それから言いつけて欲しい。

 低重心のスポーツカーが走り去った。音が無条件に侵入した。不要な機能、それがステータスだと言い張るんだろうけれど、死を招くハンドル捌きが過信に満ち溢れた両手であることを肝に銘じるべき。

 無駄が増える。考えがとめどなく、めぐる。止めなくては、ループに別ルートを作って、次の周回で道を逸らす。会場は雰囲気、大きさ、収容人数、立地場所、気温、天候、音の感触……コードが浮かんで、映像一杯に拡大した。読み上げることもなく、私はギターを提げ、音を出した。言葉の通じない相手に聞き取ってもらうように。