コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

単一な黒、内面はカラフル 2

「紫に始まり、青、緑、黄色、オレンジ、そして赤。これらの色は重なると、黒を作り出す。すべての色が吸収され、反射した、目に見える色が黒。要するに、最後の赤色とは、自分は色の一つであり全体を現す色でもある、との主張が読み取れる」

「うーんん、いまいちすっきりしませんね。紫の次はコピー用紙です、白ですよ」土井は不満を述べる。意外とこの男は物事をはっきりと言う、無自覚を装った主張にも見えたが、しかしアイラにとってはどうでもいいことだ。数十分後には綺麗さっぱり彼ら刑事たちの印象はそっくり消し去っている。

 低い声。不破がきく、隈ができた両目に見つめられた。「殺害の手順と手法はお分かりになっている、もったいぶらずに教えてください、私たちは次の駅で降ります」

「降車はあなた方の自由。そして、返答はまた私の自由です。あなた方の理由と私の尊重を一緒くたにしないで欲しい、協力体制に不満であるならば、私に不当に介入された仕事現場においての非礼の詳細をまとめてあなた方の上司に訴える手も講じてしまえる」

「そこを何とか、自白と手紙が不起訴に転ぶ材料にはならないでしょうけれど、もしかすると、ということも考えられなくはない、私は安心が欲しい」

「随分、ずうずうしいお願い」

 土井が勧める。「コーヒーです、良かったらどうぞ」紙コップのコーヒー、もちろん突然空間に飛び出たのではない、土井の勢いをたとえたのだ。