コンテナガレージ

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エピローグ

 十一月中旬、うらぶれる空が雪を降らせた翌日。アイラ・クズミが借りるスタジオにて生放送の収録が行われた、カワニが私の承諾を半ば強制的に勝ち取った二週間後である。海外からの出演者を、アイラ自身はまったく知らない。周囲の反応は彼女とは正反対に緊張と羨望と興奮とにまみれて、顔をあわせて数十分はアイラの通訳さえ、言葉を噛んでしまう状況であった。出演者たちは昨日、エンジニアを通じた音合わせを終えていたらしい。彼らの所有機材もまたアイラよりもずっと前にスタジオ入りを果たしていた。時間に正確な彼女を楽器共々、関係者一同は待ち構えていた、入室時に突き刺さった力強い瞳たちは彼らに注ぎ返した。面を食らった人物は数知れない、少なくとも私に落ち度は見出せないだろう。到着は約束の五分前だったのだから。

 四人、屈強な男たちという印象は薄い、アイラは初対面の出演者、共演者を評した。「ウィルス」というグループ名だそうだ。気張った通訳の発音が膨らんで、ぱちんと弾けた。消失。

 身奇麗な格好、時代への反発が原動力とは趣を異にする。海外の人物はこの国の住人に比べて、年代を問わずシンプルな服装を好む。アイディア追求の行き着いた先が初期に作られた形と素材なのだろう。複雑と単純、作り手の意識はこの二つの間を常にさまよう。

 握手を交わし、彼らはブースに入る。アイラも続いた。

 室内はこの五名のほか、カメラに配信用のカラフルで平べったい線が床をうねる。