コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

鯨行ケバ水濁ル 梟飛ベバ毛落ツル 12-3

もうお分かりのはずです、そう探偵さんは察しがいい、それとも点数稼ぎが目当てか、まあこの際どちらでも説明に目処がつくのなら、発言のみを重視します。仮定を前提に話します、警察が彼女の視覚欠損に着目していた否かは未確認ですので。すると兎洞さんは平面、二次元のみの対象物を把握する視覚であって、この場合ドアの隙間から死体覗き、彼女が発した言葉がしっくり。事実と異なる方向に導かれ着地をしっかりしっくりと決めてしまえた。部屋のほぼ中央に構える囲炉裏の左側の縁に死体の背中が寄りかかる、誤った認識であっても平面では捉えられただろう、警察は思い込んだ、当然の成り行きにでしょうね、不可解な死体をいかにして密室の部屋に出現させたか、という課題の消化に取り組まざるを得なかった。取り乱した、錯乱、精神バランスの乱れ、不整合な証言のぶれは何とでも言えてしまえた、曖昧な記憶を語る遠矢さんが容疑をかけられ易くもあったのです」〝犯行の手口〟、を求める。カウンター席のお客様二名が揃って訴えました。ご兄妹だけに声が揃ったのでしょう、培ったリズムが重なる。日井田女史はそれには応じずお代わりの催促を尋ねます、飲み干す予定、滞在する予定を組む方へは淹れましょう、この先話の腰を折られては困る、私の解釈です。四名が手を挙げた、皆様喫煙者であります。隠しておりましたが正直に告白いたしますと私も月に一二度嗜んでおりました、誠にホテルマンとして失格であります。甘んじて処分は受けるつもりです、開き直った態度に思えましても弁解の仕様はなく、ただただ誠実でありたい、との心情に駆られたことを逃すべきは今後の勤務態度引いてはお客様への気遣いにも綻びが入りかねません。身勝手なことでしょうが、ありきたりな報告などは報告にすら至っていなかったのである、そう改めて考えさられた次第です。これもひとえに日井田女史の解説を末席ならが拝聴した機会がそうさせたのであります。とんとん拍子、話は終わりに近づきました。あれよあれよ、いつもこの方は期待を裏切る、私の基準がありきたりであることを棚に上げてますね。お話は続いております。しかし日誌は残す一行に迫り次ページへ。一日分を繰越しますので日付を確かめ、日を空ける際はお違いのないようお願いします。→