コンテナガレージ

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蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 4-2

そうおそらく退出の記録はシステムに組み込まれてはいない。驚くことでもありませんよ、利用を終え部屋を出たあなたの行動はここで休むか自室に戻るか、建物を離れる。フロントには退出の記録が残る。それで管理は行き届くのですよ、リゾート、というホテルのテーマをお忘れなく、ホテル内では最小限の拘束と管理が鉄則なのでしょうからね。おまけに殺めた死体を搬出は係員各々の特質上、どの方が受け付けに立とうと呼び止め所持品、運搬物を改められはしなかった。山城さんであってもです。彫刻家の所持品を毎度フロントの通過に改める検査を義務付けていたならば、推理は破綻をきたす。ですが、彫刻家の阿部さんは私と同じ臨時雇用扱いであります、はい、従業員の入退出をカウントに計上されるがそれは係員たち、勤務に戻る決まりきった時間制限があったのでしょう、私と阿部さんは車さえあれば自由な行動を許可されていた。より深めた関係性の末路がこの事件の全容であるとするならば、兎洞さんと安部さんは異母兄弟であり父親は山城さんあたりの配役が物語りに奥行きを与える。ええ、否定されたように事実ではありません。私はその昔室田さんの妻であり室田海里は私の娘である、れっきとした事実ですがね。いいえ。そう、探偵さんは驚かれたときの魅力を軽んじています、自覚はおありのはずなのに押さえ込む演技を学ばれたか、生来の気質か、私にはどうでもよいことでしょう。取り乱した私は娘の身を案じたから、という短絡的な意味づけを嫌う。結局は自分がかわいいのです。同僚を、互いが庇う。協力に応じた彫刻家は信念を優先、真摯でありたい、雑念にまみれた己を一から見直す。神に出くわした、食べられる運命を今日このときまで生きた。彼女は熊の像に食べられた、それが神の定め、と受け入れる。熊になりきる、内部から。どなたが?山城さんが手伝ったのかもわかりません。もっとも遠方や山中へ逃げ込んだ可能性の方が妥当でしょうがね。お客さんが参りました、あなた方と異なり煙の吸引を許可されていない年代です。ええ、親類であろうと逸れは変わりなく等しく人として彼女は認められうる権利を生まれながらに宿す。与えられずに生きる人と同様に」