コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

店長はアイス 恐怖の源6-1

 ガレージのような店舗の入り口。真っ白の外観は地中海の都市を思わせる。相田はアルファベットの店名をしばらく眺め洒落た店内に入るのをためらった。彼は流行りモノに疎く、こういった最先端の商品を扱う店を苦手とするのだ。鈴木ならば平気で店員に声を掛けるか、と彼は想像する。常連だろうか、お客がすまし顔でスマートに店に入った。相田はこれ以上、気後れしないように、開いた自動ドアに重い体を揺すってかろうじて駆け込んだ。

 背の低い棚のおかげで奥まで見通せる。相田は屈んだ店員を見つけ声を掛ける。
「すみません、こちらに勤めていた紀藤香澄さんについてお聞きしたいのですが」相田は警察手帳を見せて言った。女性店員は驚くこともなく、立ち上がる。紀藤香澄の死が店には伝わっている、と相田は顔色から悟った。
「亡くなったのですか、やっぱり……」顎を引いた女性店員は泣き出しそうに崩れる寸前、咄嗟に相田は店の責任者の居所を尋ねた。
「こちらの責任者の方は?」
「奥にいます」女性は深呼吸をする。彼女なりの対処法なのだろう。「ご案内します」
 開店間もない時間帯であるからなのか、お客は少ないように思う。コンクリートの壁に、部屋へ繋がる非常階段に通じるようなドアをくぐると、両側のスチールラックに挟まれたテーブルに人が座っていた。
「店長、警察の方です」女性店員に紹介された店長は股代修斗、相田とほぼ同年代の男性で髪は短く、素材を重視した長袖は肘の辺りまでまくられていた。憔悴しきった表情を隠そうともせずにあからさまに魅せつける。客前ではあっさりとしまえると思うと、股代の笑顔はやはりすべては本心ではないとだと知れる。店長は女性店員に軽くなずく、すると女性店員は仕事に戻った。