コンテナガレージ

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店長はアイス  過剰反応9-4

「申し送れました。私、O署の熊田です」

「同じく種田です」

「警察?」従業員の二人は顔を見合わせる。

「この方が先月の二十三日にこちらに来たと思うのですが、覚えていますか?」熊田は写真を見せる。二人が顔を近づけてそれを確かめる。一人、背の高い女性が言う。

「開店前に並んでた人だよ」隣の女性は思い出せない表情だ。

「ほら、窓際の席で一人で食べた人。餃子を一人で食べるのって勇気がいるよねって話してたじゃない」

「ああ、はいはい。思い出した。あの人ね。そうだ」がっしりとした女性が言う。「その客さん、本を忘れいきましたよ。まだ、レジにあると思います」二人はレジに駆け込んだ。

「どこにしまったっけ?」

「いつもの籠に入ってないの?」

「籠がないの」

「嘘よ、昨日帰りに私見たよ」

「嘘だぁ」

「どうしたの?そろそろ着替えないと間に合わないんじゃない?」店主の女性が様子を見に来た。

「店長、あのお客さんの忘れ物の籠って、片付けました?」

「新しい籠を買ったの。もってくるわ」

「なかの、本は?」

「本?そんなのなかったわよ」

「昨日の帰りには私にたしかに見ました」背の高い従業員が主張する。

「いいえ、何も入っていませんでした。間違いないわ。それがどうかしたの?もう時間よ、開店準備を急いでね」店主がまた戻っていく。

 唐突に種田が尋ねた。「昨日のゴミは、どうやって捨てているのでしょうか?一般の生活ゴミとして出しているのなら、集配日までどこかに保管しているはずでは?」

 がっしりとした従業員に明るさが戻る。「そうです、あの、燃えるゴミは明日です。さすがですね、刑事さん?刑事さんですよね、それって推理ってヤツですか?」興奮と接客で制限された口調が解き放たれたらしい。

「ゴミはどちらに?」種田の無表情に彼女の高まった感情が一気に平熱に下がる。

「裏の倉庫です」首が引っ込み指先が絡んでいた、体格に反して内面はナイーブなのだろうと熊田は思う。

「倉庫の鍵を」種田は手を開き鍵を要求する。「店長さんに了解をもらってください。あなたたちに聞くことはもうありませんので」

 熊田がフォローする。「あの、開店準備を始めないと間に合わないのでは?」

「ヤバい。もう四十分だよ」

「嘘ぉ。遅刻してないのに。せっかく早めに着いたと思ったのに」

「すいません」熊田が謝った。

「いえ」