コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

店長はアイス  死体は痛い?11-4

「管理官って、大声でしゃべって疲れないんですかね。抱える案件も多そうだし、エネルギーの無駄だとはおもわないのかな」鈴木はつぶやいた。

「またぁ、捜査の中止ですか?」相田はため息混じりに尋ねる。

「お前たちを監視下に置くそうだ。勝手な行動は慎め、さもなくば命の保証はない」

「死にたくはありませんね。あんなこと、もうごめんです。けど、見張られるのはやっぱり気持ちいいものじゃないです。ねえ、相田さん?」

「素直に従うのかお前は?」

「うーんと、いいえ。それは、無理です」

「決まりだな」

「命の保証はない、これは管理官の言伝だ。それでもか?」熊田は二人の決意を確かめる。

「狙われた、つまりは事件の核心に迫っている、それは時間の問題で、だから僕たちが撃たれた。隠せない証拠があるんですよ、きっと。だって時間はたっぷりあったわけですから、見られたくない何かがでーんと構えているんです」

「相田は?」

「行きますよ。署に戻っても暇なんですから」

 刑事たち店を出た。会計は熊田が支払う。コーヒーを運んだ店長の姿は見えなかった。美弥都におつりをもらう。

「事件ですってね」

「ええ、まあ」

「まだ解決していないのですね」美弥都は少し笑う。

「今度は日井田さんの手を借りずに解決しそうです」

「ヒントは与えました」

「そうでしたね、自分の考えに取り入れました」猫が足元で体をこすってきた、ひとつ鳴く。「こちらの猫ですか?駐車場で良く見かけますが」

「店長が飼っている猫です。飲食店に動物はね」

「ごちそうさまでした」軽く会釈をして熊田が開けたドア、猫がするりと外に出る。開けて欲しかったんだろうか、鈴木たち時に出そびれたのかも知れない。蒸し返す運転席に乗り込み、照り返しが強い駐車場から車を動かす。夏の陽気で左手、家々の間は海の青で染まっていた。晴れない気分とは正反対の青さを憎んで、目的地に急行した。