コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

店長はアイス 幸福の克服1-5

 この本を読めば幸せを獲得可能と思い、購入すると痛い目に遭う。過去の自分と本を閉じた自分とのギャップの処理に体が一気に短時間では凝縮の読書には追いつかないのだ。考え事が好きな私でも、それなりに休憩を挟んで無意識の処理と噛み砕きは必要。
 浴衣姿の女性がガラスの外側で駅に向かう。不釣合いな和装は晴天の近代建造物に馴染まない。中心街ではお祭りの季節。誰のために着ているんだろう、純粋に暑さを考慮してではない。新調した浴衣だろうか、それともタンスで眠っていたのか。一年ぶりの登場に季節の楽しみを重ね合わせる。それはもちろん楽しさに由来する。悲しかったら、たぶんもう同じ浴衣は着ないだろう。やはり、楽しさか。自分次第、自分勝手それの延長。相手に楽しんでもらうよりも、多くの人の目を引くよりも自分が第一条件で最優先課題。
 私にとっての幸せとは一体、目に見えて既に手の中に存在してるのだろうか。コーヒーを啜る。氷が溶けた、液体の分離。混ぜてもまたもとにこうやって戻るのが私。過去を引きずっているのでも、幼い頃に植えつけられた記憶でも、まして私の思い込みでもない。私に通常、普通、平常が他とは混ざらないようにはじめから作られているんだ。わかっているし、そう決め付けたんだとも疑ったけど、やっぱり私は違うのだとの結論に行き着く。辻褄が合う。合わせているのかも。うがった見方かもしれない。でも、けど、だって、私はどうやっても浮き出てしまうの。真実と嘘、白と黒の世界が私には向いている。曖昧な、グレーの部分も持ち合わせてないとはいえない。だけど、私がいるのは両側の交わらない色の部分。そこに腰を下ろして見つめるの。世間を私を時代を私以外を。誰といても何をしててもいつの時もどこにいてもどんな感情でも私は私を見ているんだ。許さないのあいまいは。その私が。