コンテナガレージ

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あちこち、テンテン 3-4

 店主が国見蘭の代わりに答えた。「許すのは誰?同年代とお客さんの世代とではまた意見は食い違うと思う。見え方、捉え方に平均は存在しない。だから僕は評価を下さない。あくまでも表には出さずにね。言葉に出さず思ってもいいだろう、しかしそれを共有するために店での安易な評価の裁定は控えてもらいたい」

 二人の店員はきっちりと厳しい表情でうなずいた。その時ホールから呼び声、オーダーである。国見蘭が厨房を離れた。

「あのう、店長?」持ち場に戻る小川が店主の後ろを通過し、二歩引き返す。「予約のお客さん、夕方のこと話していましたよ」

「夕方?」完成した料理をデシャップに、そして呼び鈴を鳴らす。小川のほうは一切見ない。伝票を確認、万遍なくテーブルに料理がいきわたるよう提供の順番を構成する。「館山さん、ピザはあとどれぐらい?」

「もう一、二分であがります」

「了解」店主は何を考えていたのかを思い出す。「えっと、何の話だっけ?」

「裏通りの事件ですよ。実はですね……」

 小川安佐は料理の合間を見つけては、食材を取りに来るときを狙って、営業時間終了まで店主に聞いた事件の内容を語った。彼女は国見蘭に聞いた話を誰かに話したくて、このような行動に出たと推測する。