コンテナガレージ

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自作小説-重着り

12  1109

「運動不足が祟った、足をつけてなら得意なのに、」覗き込む二人の刑事を息を切らせて髪の間より、解れた前髪は休日か休憩時間に長さを整えろ、言われなくとも、館山は上体を起こす。 「藁を筒状に、何かを巻いていたか」 「堆肥でしょうか?」 「室ですよ」…

11   1053

野菜は置くか、種はどこ、満席を期に張り紙 「野菜あります。なきは種。 所在は各自お答えしかねる 店主」回答は四分の一を応える、役目を国見蘭に負わせた、補てんを考えておこう。時は等量急いて動きはこちらに軍配、エアコンという概念は厨房に立ち汗にま…

10  1007

「お時間よろしいですか?」二階の窓に向かい熊田が頼む、門前は館山リルカの実家、車は空港にてレンタカーを借りた。警察です、熊田は反応を待ち二言目を告げる。 だから、強い。母親は網戸越しに一匹の侵入も許しません、蚊ほどもね、あのひとなら言いかね…

6  313

道路地図は正しい。様変わりに発刊が追い付かず、あえて更新を諦めた。時の経つ一冊に苦情は訴えを喉に留める。種田たちは線路沿いを駅へ、車両基地に阻まれる、転回、引き返し線路の向こう、車両基地が流した。見えた地に阻まれる田たちにО署の刑事らがあや…

5  263

座面を伝わる振動の程よい刺激が目立ち、小川安佐の無鉄砲な敵陣突破は訪れたはずの無言を買い取れた。I市の南部、西は時を担う浮島と日本海、北北西、北北東に連山が居並び、真北に盆地を見る。残る地域は平野部と起伏は少ない、電車が中心部を通る、町の…

4  170 

「О市署の、種田と言います」彼女は警察手帳を見せた、右の指は引継書を掲げる。「我々はI市警察の要請を受け捜査に当たる」 「警察の人とは、横柄な物言いではいやはや失礼を」半被、紫に袖口は白く縁取られ、太い線が衿にも縦は足元と伸びる。詰まった首…

3 四月前期  124

断固、反対を貫いた。彼女の狙いはあれへ向けて隠し立てもそこ々に舌なめずり、すまし顔の裏は丸見えだ。立聞き、張り出て気配へ皆の向く。当事者であるから、「私が図々しかったのです」、身を引く素性は町を出、離れるだろうさ。トマトを知りたい。どこま…

三日月より望月に   2   90

「晴れましたね」 「うん」 「お邪魔でしたか?」 「五分五分」 「正直ですね」 「館山さんが仲立ち、早くに店を出た。実家、一言で表すと、そうかな」 「じゃが芋に飽き足らず、まったく恥ずかしい限りですよ」 「お米は助かるよ」 「、自己満足ですよ」 「…

「重着り」 プロローグと1章1~6までを掲載します。

40 持ちものに問ふ。あらずと良い、あれば好き、なきはなし。天罰にいい気味をひそか、声の殺した揶揄が起ころうはずが、ありし日他者より分かつ。天の恵み。ひたひた熱き雲と生ぬるく、時と涼風を運び、林のごうごお揺れる。植わり天与りの頂はいつ果てると…

8 六月 上弦   892

顔見知り、住まいを設けおいそれと他所へ移るには、製法を訊いたとてそっくりは自戒の念に指摘よりもでしょう。いつかいずれは十も二十も下、真似てごらんなさい。 決まりを守ったらいかがか、足をはこべ、 一心同体、一蓮托生、外を出歩く暇が、あなた方の…

7  848

二十分をかけ店先の海水浴場にお決まりの重なる浮き輪、館山は刑事たちの処遇を体感、捜査権が市外であるといらぬ心配に、タイヨウ食品は受付をこましゃくれた白銀の触ると血の出る恐れ、木型のオブジェは口の開いて、用向きを問う、地下三階、白衣が制服に…

6  805

「どう思われます」 「即答はしかねる、車内それも人の車で話せる内容かな」 刑事二人は熊田が運転するレンタカーは後部座席に収まる。上司の車は路上を消え、方角をともに厚意に甘えた。 交通課へ連絡を控える、静けさの正体が西へ向かう車の列を、最寄り駅…

 5  762

「central cityに一人でいけないのは、大人の遊び場だからって、取り残された俺の身にもなってくれよな」昼食時に自宅の備蓄品を食べに帰り人がひいた、店主がいうには一週間前から観来(みら)れる、個人の飲食店はしかし限られた今年の越冬を捨てて地下倉庫…

重着り 3  661

館山リルカが語る内容は以下のとおりである。 「お暑いでしょうに。気にせずとはい、ほれっ、あんたもったく先に入ってでにゃきゃ、ですものねえ」母親はまだ畑か、直売所に補充に行ったか、出迎えたものは父親である。もんぺに細かな桃色の作業着と日差しを…

重着り 2  619

「同意が得られたのでしょうか」 「ドアは空いていた、玄関先で立ち止まり以上は」列の進む。「記憶に留める、書付た議事録は手元に戻した。紙の代金は自己負担か、下駄箱に乗る貯金箱は善意に訴えるのか、しれないな」 二時間を覚悟に決めた種田と熊田の足…

定植は新月から望月を 1  五の月 下弦 雨空   561

整う鍬の入れて担いだ陽の重なりは、むざと大仰身に手に余り巨体は私よ、散らすあちらは共振熱きものより果てぬことの白黒きあれは雨の起り。いつまでこだわる、遅れまいと現在(いま)に執心はそちらで、あなた。いかに、問い尽きねば蝕み荒む蔑ろのなかいま…

11  529

「似てらっしゃいますね」アイスを手渡す店員がいう。 「雇い主と従業員です」上下に往復した視線、誤りだ、訂正もけれど取り繕うとあしらわれる。恨んでやったよ、母親殿。君の背丈を私は継いでおります生きてます。 「甘そうだな」 「あっ」「、どうも」ま…

10  488

「二号店の開業準備か」 「農作物の調達です」向けて日光(ひか)りが運転席の応対隠し、開けた窓と横顔を熊田は捉えた。熊田に隠れた視界を、高く窓枠を上司の髪との間、種田は炎天にそぐわず厚手の白衣(はくい)、『エザキマニン』の店主は地下鉄通勤でありな…

8  388

「この借りはきっちりどぱっと私は返してもらう義務があるんですからねぇー」安佐を想い館山リルカは後部座席の後輩を追い水田線の最寄り駅から彼女たちの職場『エザキマニン』へ、十一時のlunchに間に合わせる開店と食事の提供を、安佐ひとりに任た。この頃…

7 APRIL 雨    344

倉庫にしまう小型機を貸した。いい奴だ、手足の付いたゴミ箱は蓋を開ける。よいよい、いつでも来なさい。さっさと次を取りに戻るのだ、はは。 おお、おおう。あるだけ持ってゆけばよい、持てるかい。ほおー、これは見くびったこちらが悪い。おっと、逞しいは…