コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

10  488

「二号店の開業準備か」

「農作物の調達です」向けて日光(ひか)りが運転席の応対隠し、開けた窓と横顔を熊田は捉えた。熊田に隠れた視界を、高く窓枠を上司の髪との間、種田は炎天にそぐわず厚手の白衣(はくい)、『エザキマニン』の店主は地下鉄通勤でありながら免許証の更新手続きを済ませて、言えた身分か、必要に迫られてハンドルを握る。田畑、宅地、遠方斜めへ天にまでビル、近景に瀟洒な箱と踏切、また線路、発展を遅れて錆にまみれた駅舎を右手に沿線、中心街を行き過ぎた先を北へ幅広の道路に乗り線路を高架、下り降りてあのひと、あやつ、と誰一人名を口にすれば恐ろしや。ご時世得体のしれないものは得てして繕り物、もしくは見間違え、ほんのわずか異物はまぎれる。

 人はすぐ目に留まった。稲穂は風をよく々代弁、風に色がなくて目障りで、見えているものはいるだろう、鳥たちはどこかどこでもない空間、空気を見る目に私たちは肌を残す。覚えたての礼儀作法はぎこちなく稲わらなかへ頭の消え、帽子は捕まり還られよ。

「精が出ますね」本心を真裏に、表情を見定め打つ手は変わる。店の前に待たされ繋がれ視線の浴びた動物に熊田の、所有者を視た。甲の縁、縫い目をめがけた水と混ざる土。私は仕事をこなす、尋ねに迅速な気前のよい返しは、遅れ待ち空振る、苛立ちに癪に障る疲労は起きずである。

「お引き取りを」警察にはすっかり事情を訊かれるままたんまり。

 種田は掲げた警察手帳をしまう。熊田は打ち明けずに進める腹積もりであったとは、この上司はときに捜査と対する人を遊びに使う。彼の上、部長に比べたら蚊に刺された憤りもいずれ腫れのひくが不確定は荷から降ろせ、性質なのだ、種田は面と向かい時の止めた二人に戻した。

「知りません」死体の発見場所を熊田は尋ねたのであるが、一度話した記録を読め、その人は白知ら心情を偽る。

「順調に刈り入れを待つ」半周、開く右手。「種をお持ちだとか?」死体は言えない、他は種の話題は無関係だろうから、即座機転を利かせる。軽く撫でつけた整髪料の照りを髪の痛みが和らぐ、上司にあるまじき、一般の役職をいうのではない。手をかざす、暑さを苦手とする四半世紀を数えようやく身に染みた現れる私の質(たち)。

 饒舌だった。熊田は顎をさすり頷くように。考えが合うのか。

「発現を起こします、他は正常といえましょう。食味にばかりがことの発端、記録に大量、害虫・病気の除去、あらゆる生育に住みよい環境を維持したがため抗う術が自覚を失った」雪の白、まくる腕を浮いた汗をせっせと、片側もしっかり。

「あなたが収穫にありつく」

「買い手はついた。作物は取れる。適正には収まりません、しかし取引相手の態度が安価を度々呼びかけはしましたか」

「明かそうとした。始末をした」

「種は明かす」タオルは首に巻かれる。「あの底も入られたでしょう。なにも見てはいない、悠然生えたこれらが種であるのに」もう切り上げてくれ、仁王立ちは不通を指す。

「穴をあけたあなたは過失を免れた」押す、熊田は無鉄砲を装い打つ。

「あなた方が止めた車は私の知らせ一本であなた方が運ぶ。短時間であれこちらの私有地において所有者、私の許可なしに履(おこな)えました」小型機が低空をキャノピーは振動と下景に酔いしれる、背中の張り紙は視えない。

「招待した」

「ありえます。口がありその者に耳か目が備わる」飽きれた、期待をかけた自分を恥じてヒキタミツキが踏み出す右足と同時。

「穴をしらべた」軸足はその場にとどまった。「過失にしろ踏み外した、崩れたにしろ手は差し伸べるべきでは?」

「家の、部屋に帰り、お尻を向け冷蔵庫を覗く方にゼリーは半透明の冷蔵室にと?」

 きっぱり。割り切りも突然。農道へ足をかけたすぐに煙が漂う。固定回線を引く小屋までを目算、慎重に切り返しブレーキランプの丸に呼ばれた。もうあそこまで、ベルトとシートの間に挟まれ彼女は次の行く先をきいた。

「種屋」道路地図に載る古参ならかろうじて、日は左後方、耳の後ろあたりをさんさん照らす。