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下町+洋食店×都会派ミステリー「重着り」 8  1683 

「信頼のおける機関が先決だろうに」実家の畑、そこで止まるように、白菜の葉を鎌が、指し母親は半身をこちらへ向ける。館山と刑事らは裏手は下段に降り立ち一歩目の踏み入れた位置、人としては接するらしい、彼女は交渉を二人に任せる。

 場を譲り後ろに下がる。熊田は、あなたが検査を頼む距離は懇意を問わずにどうぞ、施設があれば教えてもらいたい、と懐へ。日々人を約束を取り交わす、獲得した能(ちから)。

 呆れてものが言えない、刑事といい家族といい、「西の山向こうは日本海の際、突き出た岬に田沼という変人がいる」土はあんたらが履く靴の裏でも取ればよし、言うな、種田の発言を止めて、玄関に長靴が一足主に忘れられ畑に出ず留守番を任される、使いな。

 口が乾いた、喉が痛い、独り言を口にだから、母は作業に戻った。

 幸い、満遍なく父親は畑をぐるり見回り作業に取り掛かるので、昨日と何も汗だくに畑を炎天下必死に走ることもなかった、刑事たちは私の意見に頷いて行く先を定める車中に、議事録についてを尋ねた。

「そちらにも向かうつもりです」忘れていでか、種田の冷たい返事、しかもあなたは用の済み、なぜ実家にとどまるか最寄り駅までを私らに頼まず、平然後部座席に場所を占めるのか、斜めに見つめる瞳は実に冷ややかである。 

 母親も気持ちの整理がつかず私心を話した、素直であるのは数年に一度の起きれば父がcakeをその晩はお祝い、夜に起きれば翌日私は学校をあの人たちは作業を止め家族団らん外食に、遊園地に動物園、飛行機にも乗りtheme parkを連れまわされた。母のため、素直な発露を父が応援した、喜びを私たち家族は求めている、なによりもだれよりも。

「ただいま主人は出払っておりまして、待ってください、なにかの、安全です、もしもし、もしも、」

「警察の者です」はっ、作業服姿の女性は軒先で息をのんだ、足元では鼻にかかる声、犬が飼い主を見上げ異常を察す。車体のほとんどと言わしめるタイヤは赤いトラクターが畑にこちらは飼い主に忘れられ佇む、稼働は止まり作業の続きを声のなく叫ぶ。

 私にも見当がつきませんで、七瀬航(ななせこう)の妻は狼狽した様子に、「作業をしていたと思っていたのが、直売所へ向かったのだとは思います」携帯の電源は切れ、先ほどよりひっきりなしにクレームの電話が後を絶たず、夫へ不通、家の電話は妻の携帯に転送されるとのこと、どうしたら、もしかしてと彼女は悪い結末が過って仕方のないこと。義母が様子を確かめに、連絡は届いてもよさそうものなのに、なじるよう妻は片側の歯を噛みしめる。

 物質に触れる振動。種田の端末だった。「はい、ええ何故それを?、経過よりを。ありがとうございます」

「誰だ?」鈴木、直売所の野菜に被害が顕れた、取り寄せた野菜は身の欠けて袋の中で崩れる、食べられたものでは抗議の電話もようやくつながるかと思いきや混乱も、暴動に近いとか、出荷される前のまだ形の整う作物をめがけてすし詰めに会計もままならず、倉庫に職員らは逃げ隠れるに精一杯だと、警察であることを打ち明けて聞き出した、種田の「経過よりを」、取り寄せた食す前の作物は良質であるのか、体内で崩れ落ちるのではに向けた。

 生産者が顔を出すのは得策ではない、熊田に妻が縋る、片手を彼女は包む。真っ新な軍手。「何かあったら、私、あの人だけが。お願いです、連れ戻して」

 犬が吠える。いじめるな、読み取る感情と対する相手、第三者がひどい仕打ちを、目に見えるものを動物は捉える。

 同情に傾かずむしろ警戒を敷いて、「ご主人が管理する会の議事録を拝見したいのです」こんな時に場違いもほど々に、見開いた眼が妻の意を語る。ひるまず、熊田が対峙、なく々どうにでも、それが助けに繋がるのなら、本来は車へ飛び乗り迎えに安否を確かめに行けと、振り返りこちらを縁側より上がる彼女は緩慢から回廊を走る。

「いつもですか?」私はつい言葉が出た。二人が振り返る。

「続くということは関連が認められる。見えずにこれまで数珠つなぎに行われていた。偶然はごく々稀に、起こりはします、が重なり二つをひとつの時に接した」それだけの、些末なこと、達観は勤続年数によるのか、けれど隣の女性刑事もまただ。館山は長袖の一枚も帽子の一つも、出発は急だから困る。

 西へ、最寄り駅の北は民家の切れた区域、南北に延びる国道沿いに、どうか、窓越しに悲壮な顔がこびりつく。

「私にも?」議事録を読めてしまえた。店長に通じて、思惑は判りますとも、私は橋で情報を渡す。

 厚紙に平たい金具を束に押し付けひっかけ固定、町内会の回覧板でももう少し造りは頑丈だろうに、あ、手が止まる。目も止まり、体は車揺れに動く。紙をめくり指が次を頭が次に止まった。ミラーに一目、もう一人はまっすぐ前に長い首。

「白紙です」

「一致」声が揃う。種田が譲り、熊田が君がと、まるで最後の一切れを、種田がそれでは、「参加者の異なる意見が一つにまとまり、これまでの議論一切が消された」会合の決まり、過程は問題に、次に進みまたまだ議題が待つ、やっかみも軋轢も手を取り合い顔の向きは同じであるのに、いまさら、種田は飄々と語り、

「厄介だ」運転手の発言の意は、前方に表れていた。「考えることは皆同じ、縋る道は一本しか残されていない」煙草を吸うから、時間を要する、言い訳に思えたが、すんなり種田は喫煙を認めた、あなたもどうぞ、吸えるものなら、顔は語り館山は首を振った。

 彼女を殺める、意見をはわせた。結託し死に追いやる、種はそれほどあのひとにとっても彼女は価値を脅かせてか、重い腰はあがる、決断に踏み切る行為を彼女は与えたのか、館山は白紙の書かれた内容に思いを馳せて、反し車は、速度を緩めた。