コンテナガレージ

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addict ヱディクト

本日から新しい小説を掲載します。

 

ch 1 
 
「お待ち致しておりました」あわや衝突、彼がマネジャーであるらしい、東北までを車で大変な御足労を願いました、「いやはや安堵は、していられませんよ」、胸を張る姿は奇妙にも様になる、オオガキは案内役を助手席にフェリーへ、車両ごと乗船を果たした。九月の初旬である。
 機材の荷卸しは一人で、手伝いを断り、路順とおおよその距離を口頭で、一度歩くとの提案に、「手間を省きます」だから私がお手伝いを、「どの機材を運び次にどれを、組み立てる過程が仕事の始まりでして」貫いた。、カワニというマネージャーは引き際を知る、表向きの人柄、船内の見取り図を一枚手渡し、足を一歩、引き戻り、丸のついたところに案内図がありますので、支給はそれ一枚に、意味を読みとる。
 空気が軽く鍾乳洞の入り口、出たか、林が遮る。かかん、心配は無用、私はここに。、鉄筋であるのか、赤色の枠が保たれて剛性。役を果たすとは、主を失い寄り添う箱はこの上層に占めるのだろう。トラックの荷台に隣はコンテナの列か、どちらも運搬にたやすくレールの上に、間にところとところ、円台が見える。向きの変わり、私は頭を先に、止まる。下船を速めたく、か。
 五層、一より三は波を受ける基底部にあたり、海上、海中は望めず、滞在は禁じられる。昇ると四の層、上の五層を足して人の漂う客室を構(かまえ)る。下にひしめいた、重りと調整(はか)る役目が、集めた。乗降口の脇に出た、連絡橋を通じてお客を運ぶ、離岸のあとが気に掛かるも、彼は正面のエントランスへ進んだ。ホテルのロビーを模した、老舗の装いは物質が背負う宿命に、私とて摂理にいずれは従う。
 本日は皆仕事を忘れたかあるいは終えた者たちが観に乗船を決めた。娯楽施設を過ぎた先、低い段差が目玉のピアノ演奏を映し、手狭。知てか否かは、彼女である。抜かるとは。
 降りる、手すりは向い側にも、ただし通り抜ける路の書かれては、人の流れを統制したく、不格好は演出が補えば。頼もしい限り。ステージとスピーカーが二基、フットモニターだ、布を戻しこちらは音の吸収に垂れ下がる波のカーテン、回生を機にかけた配置はわずか一握りに近い、就航よりグランドピアノを据えた凹み。音の抜けて下層に設ける、演奏者は椅子に座るのだから。
 モニター台を前に、やや右に外れる。中二階、見渡すには良くとも、オオガキは顔をしかめた。視線が幾度と襲う。救われて、メイン卓はどうにか使用に適うらしい、動きはするが、と気を緩めず彼は息をつき、通路を戻る。右舷、駐車場の一層へ従業員用エレベータを降りた。唱える。思い出せるよう、船内を想もう。
 挨拶を一つ、手を掲げた不愛想は好感を持てて、謝るカワニが過ぎて彼女を悪く映す、一行を見送りはたと、スーツケースの転がる車輪、足音が消える。開けたバックドアと密に支えのベルトに手をかけていつも、結果はしかし、悪くない。