コンテナガレージ

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ch 5 ~小説は大人の読み物です~

「突飛な発想を、皆さんもよく快諾されましたね」嫌味ぐらい言わせてくれ、カワニは首を振る。彼の心配をよそに受付に並ぶお客らは入場券と交換に、リクエストを伝えた。アイラの案だ、一人の音響係りでは手に負えず、二人であるならば担当を分けた二日間を想定にリハーサルは全曲をこなし、本番に臨む。スタジオエンジニアのキクラに、オオガキを遣う。
「あなたでしたか」汗をぬぐう楽屋に彼が顔を見せて、カワニがソファに誘導、テーブルに乗る包みを開けるよう、急かした。「あなた方の落ち度では」壊れ残骸と成り果てたミキサー卓の同型が現れる、「昨日の今日に任せられる人物はと、キクラさんがあなたを推薦した」船上より解放されて間もなくのこと、一人が席に着かずに警察が呼び止めをかまっていられませんと出た、必要ですから受けるだろうとも。
「大層な、自信ですね」トイレから着替えて戻り、言われた。卓はせっせカワニが梱包を解いてキクラと会場へ運ぶ。「比べるに機材を同じに会場を異に、係りは現場ごとに、ここすら毎度人を呼びます。小と中規模、あなたの質を計れます」プレゼントは喜ぶ反応を苦手とし、自らで手に入れる者。お眼鏡に叶いますかね、自信なきものは自らをよく知る、大口はだから叩けるのだ。
 水分と流れる汗と交互、隙間をみつけては文字とイラストの詰まる壁、「今日ぐらいは食べるでしょうね」ことあるごと、カワニが楽屋を出入り、暖簾に奪われた視界がときと通路で頭をぶるける、悲鳴が今日は二度、ソファに沈むときもアイラはもう半分を名流(なが)す。、恐ろしく訪れて、「出番です」用意が整う、本番さながらのステージまでの帯同、「こちらを使います」噤んだ隙に音を這わせた。
 説明が求めに立ちはだかるは二人、「おおよその数値に私が演奏をこの方は知りえる、新入りをでは急きょとなれば、」アイラさんの勝ちだよ、キクラは用意された大部屋に、片手にはカツサンドが握られていた、近所の商店街で見つけたと聞かされた、手軽にこれならば私でも、だれもが外の空気を吸いたがる。中の恩恵をまずは手を合わせてお願いするべきではと。当日券に並ぶお客の出方を受けて、曲順は決まる、「つけあがりますし、専属と言いかねません」
 文句はレストランまで続いた、いい加減に食事がまずくなる、「罰だ」かつ丼の一切れは対面に座るタテカワに奪われた。会場では聞かれたくはないので、面もちは神妙に、私に食事をさせる算段だったかと、ラーメンをすすり思う。隣りに席を選ぶのも、威圧を避けるため、狙いを定めようと鰻の身はぺろり彼女が平らげる。声が漏れて、「子供か」部長こそ、どちらも、である。喜べ、かみ砕きお茶で流し込む、「船舶代は契約で賄えた、あんたの金だ」わかる質問をなぜ、「報告は義務だ」
 中三日をリハーサルに通う場所が代わるため通勤に射貫く視線を浴びて、三日目にはいつものあいつ、降り口をわずかに同じ車両より乗り込む規則が働いた、目線はややホームが高く路面電車を降りた感触はだいぶ薄らいだか、箱が流れて明るく日の射す。出張が言いえて妙、吸い込まれて乗車券、やはり階段は少なく街は地面にひたと建物が低層であるからか、ただ人と車と自転車と空の境目があいまいである。歩いて曲が浮かぶのか、数少ないインタビューが思い出された。