コンテナガレージ

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「食中毒を起こした、これは偶然か否か。事実確認は皆さんの専門ですから、各自で判断を。さて、何はともあれ、飛行機が一台空いた。けれど、懸念事項がまたひとつ残されてました。ええ、ハイグレード席の処理です。最悪の事態を回避した、とその事実に気がつく数分間、私たちはとんだ夢想に耽っていたわけです。飛行機一台のチャーターに比べ微々たる金額ではあります。が、可能な限りの無駄な出費を控える、費用は抑えたい。いいえ、たとえあなた方よりも預金額が多いからといって無駄遣いを見逃すことは等号では繋がりません。楽観的、という評価も誤りでしょう。むしろ、臨機応変に物事を捉えた順応性の高さ、という捉え方をなされてみてはいかがでしょう。話を次の場面へ展開します。一旦席をはずす女性担当者の放射した顔のパーツ、ドアをくぐって見せ付ける表情から事態の好転が予測されました。なんとハイグレードの席は存在しなかったのです。新しい機種らしく、なぜ機体番号が七の数字から始まるのかは知りませんが、通常機体の中央に配した高額な座席が、エコノミークラスの上位席に作り変わっていたのです。おそらくは数時間単位の航続距離ではなく、長旅に適する工夫、新たな試みなのでしょう。必然的な応対でしょうね、他国と自国を渡り歩くビジネスマンが毎回高額な席は買い求めませんし、ただでさえ高額な旅費、コストカットは企業、個人を問わない、適切な充当先を探します。つまり、高いと思われていた高額席がワンランク上のエコノミー席であったのです。そして、ビジネスクラスの席は先頭に設けられていた、次の検討課題は、その二席のどちらを私たち一向が使用するか、に切り替わりました。お客は数時間の演奏とその何倍もの睡眠を強制するのです、誰しも、ビジネス席のゆったりした座り心地ち、そして寝心地を欲するでしょう、無料なのですから。よって、観戦予定のお客をビジネス席に宛がう、これは決定事項であり確定です、ああ、検討は言いすぎでした、あなた方への説明に内部の処理速度を落とした解説でありますから、判断はたった数秒の所要時間であったことをつけ加えておきます」