コンテナガレージ

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3 ~小説は大人の読み物です~

 

「事務所の数少ない社員を呼び寄せてもらいました、向日さんという方です、記載にはMとイニシャルでお願いします。彼女は、ええ、女性です、会計業務とホームページのウェブデザインも手がけます。小さな事務所、大勢を雇うよりも一人分の給与に加算をする、そのほうが効率的なのでしょうね。経営面に関してはこのくらいで。向日さんを交え四人で彼女のPCに顔を突き合せます、タブレット端末ですのでテーブルに平置く、これで内容の確認が行えました。近頃では普通らしいですね、キーボードと一体化した製品というのは。まあ、それはおいておくとして、お客の急募に、「カウント」というアイディアを私は盛り込むよう提案をした。短絡的な回答ですね。残りの席数を煽る、という切迫感を狙った無益な商品を買わせるはずがあるでしょうか、一度考えを租借してから発言をすることを求めます。横槍が入りました、まさに話の腰を折られましたか……。残りの席数の提示は分かりやすさを重視、気になるたびにお客が旅行会社へ連絡、ホームページのチェックなどでは手間がかかって仕方がない。カウントをクリックすることで、旅行会社の私のツアー企画のサイトに飛ぶ、ありきたりな手法であり、面白みもない趣向ですが、反応速度は高められた。ただ、それでもツアー企画の申し込みにはタイムラグが生じるでしょう。なぜなら、事前に旅行会社に氏名等の登録を済ませている人は少数でしょうし、申し込みは電話やサイト上の簡易な確認では承諾を得られない仕組みを採用しましたので。個人情報の入力と振込みの完了を以って企画への参加を認める。ですから、機内で演奏をした曲目についてはお答えできません、そうお伝えしたはずですし、これで三度目の警告ですから、申し訳ありませんけれど、あなたには退席を願います。職員の方、そちらの男性を外へ。はぁ、皆さんも発言には十二分に配慮を。そうですね、機内についての諸事項は機密です。期待はずれだと思われたようでしたら、それは皆さんの検討が誤っていた、という自身への反省もどうか私への罵倒とともに試みてください。所属する機関、企業、媒体を代表してわざわざ会見場に足を運んだ。出版を前提に、記事の内容を私のチェックを済ませた掲載を約束、契約を結びましたよね。退席された方へは、料金の支払いは請求しません。時間を使わせてしまった、せめてもの償い。何しろこの会見自体、開く予定ではありませんでしたから、期待をさせたてしまった、私の責任です。空港で出迎えた事務所の社長から連絡を受け、着陸前私たちは機内から連絡を取り合った。この人数の二倍は控えていた報道陣の数、回答を拒否することは世間的な批評を浴びる。もっとも私はそれでよかった、それが望ましい、とも感じている。この瞬間もです。もうお一方、そのカメラを。通常の眼鏡でありませんね、フレームのふちを不自然につまんだ、よく気がついた、眼鏡がずれ落ちる方の特徴として、折りたたむ接合部分のヒンジを引き上げる方と左右のレンズを囲うリムを繋いだ鼻の上部に位置するブリッジを触る方が多い、フレームごと触る方は少ないでしょうか、私個人の見解です。こういったデータを収集せずとも、連れて行かれるあの女性が普段は眼鏡をかけない人物であることは明白でした、答える必要がありますか、とても傲慢ですね。……いいでしょう、立て続けに退席されたのです、私の警告が不十分であった、この事実も受け止めるべきですしね」