コンテナガレージ

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機内 早朝 ハイグレードエコノミーフロア

「私が目を覚ましていなかった場合を想定していましたか?」
「まったく。たぶん起きてる、直感ですよね」私とカワニを呼び立てた威厳と風格をすっかり脱ぎ捨てる、取り外しが可能らしい。
 黙る。話を進める役割を年下が担う決まり、そのような世界に生きる覚えはない、アイラ・クズミは待った。
「さっきは悪いことをした、反省してるわ。許して欲しい」
「過ぎたことです」
「水に流してくれます?」さっきは悪態、着席と同時にフレンドリーを経て敬語。不安定な遍歴、なんとも捉えにくい。

「流すのは私であって、事態を引き起こすのはまた、あなた」
「死体は機長、さっきまで操縦桿を握っていたのよ」
「航行は続く、副操縦士が代役を務める」
「客室乗務員たちを取り込めば、副操縦士は機長になりうる」
「オートパイロットに切り替え、登場、空港へ引き返す退路を断った」
「いいわ、あなたはいい。先が読める人と久しぶりに話せた、ぞくぞくしちゃう」
「殺害場所は機内。殺害方法と凶器は?」
「まず死因を判別する場面を考えてくれないと」
「仮死状態だった」
「あるいは生存」
「呼吸、心肺停止は私も確認をした。他数名を含みます」
「死体が出来上がった」
「死体"は"です」
「"が"よ」