コンテナガレージ

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追い詰める証拠がもたらす確証の低下と真犯人の浮上 8

「貨物室から出てきたのでしょう。単純な計算です、機内に代わりの人物はいて、しかし、お客、客室乗務員の視界には入らなかった。貨物として迷い込んだ。演奏が遅れたことは予想外だったでしょうか、吸引用の酸素は携帯していたでしょうし、貨物室内では荷物の中に居続けることは強要されない、人の目は届きませんからね。大手を振って食事も摂れた、フライトから数時間、トイレは我慢をしてたかもしれませんね。とにかく、私は死体を運んだ配膳台が空になって戻ったか否か、中身を確認してはいない、客室乗務員たちだけが知りえる事実」
「大胆すぎます!」必死に理解を拒む。鈴木の発想には居場所を与えられなかった、それは正しい。ただし、彼女の言い分もまた推論においては正当性を帯びる。
「最良の選択が受け入れやすいものです。ただ、時にはそういった妄想は捨て去るべき」アイラはいう。「経験の名の下、作りあげた捜査体系・方針があなた方が恐れる敵。捨ててしまえば、おのずと答えは手元に残る」
 タバコを吸った。立ったまま缶コーヒーを飲む。
 連絡の取り付け、上司へ報告、拘束に対するお詫びと捜査協力への礼、次回の訪問予定の示唆と解放、一人っきりを彼らはぶしつけに当たらない去り際に彼女に与え伝えた。