コンテナガレージ

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至深な深紫、実態は浅膚 2

廊下、私が支配者。本体は見えずとも話し声は聞こえる。

 スロープを降りる。

 外気と戦って自販機となり、ベンチで読書に耽る男子学生。講義で見かけた顔だが、名前までは引き出せない、興味がない証。

 そろそろだ、そろそろ冬だ、雪だと騒ぎ出す季節。

 いつだって季節を楽しめるとはご陽気な連中だよ、ベルの音でよだれをたらす犬でもあるまいし。

 書き出しの一行に手間取る。

 すらすらと書けた文字はあて先だけ。かきむしった頭皮を手で払う。

 明日まで間に合うのかどうか、彼女は屋外へ通じるドアを押し開けた。 

 今月の始まり、私がトップバッター。

 ミキは遠慮を捨てた、決意だ。ありのまま立ち向かってみせる、みようではないか、内容を第一に求められる本質だったじゃないのさ、これまでも。読み手だってある程度素養があって、私の次にペンを手に取る。

 うん、そうだ、書いてみないことには始まらないんだから。

 想いを溜めることにした。溢れてきたら、書けばいい。目盛りを用意。線を見て、様子を確認するか。ときどきだ、見る時間を決めておこう。どきどきとときどき、どくどくとどろどろ。わくわくにたくたくと、想いをさ、書けばいいのよ。