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本心は朧、実態は青緑 2

厳しいのが世の中、どこでもいつでも投げつけられた言葉。

 宇佐マリカという人物は名前にそぐわない容姿を与えられ、執拗で陰湿な仕打ちを受けた過去を身に刻みつけてここまで無理やり十代を乗り切った、生きた。人を辞めようとは思わなかった、むしろそれは相手方、平気で軽口を投げかける人物たちが歩むべき選択と思っていた彼女だ。明確な形を頼るのなら、いっそのことと彼女は数字を味方につけた。堂々と振舞える術が欲しかった、と思う。「勉強はできるけど、他はねえ」、他人の陰口にクッションができただけでも、私は救われた気がしていただろう。性格形成が固まりつつある幼少期に、白と黒の判断を迫り、体現をしてしまったおかげで、今日の私、宇佐マリカが形を成した。

 顔は変えた。そういった施術を東京で求めた。そして、生まれ故郷とは異なる都市で公務員、地方の事務員の採用試験に合格し、息を潜める。だが、性格は防衛本能が年中稼働しっぱなし、敵対心の塊。私に触れる、関わる人は初対面の印象を覆す引き波のようにささっと、身を引き、態度を変え、表情が強張る。彼女は距離を一定に保った。