コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

黄色は酸味、橙ときに甘味 5

「真実しか述べてはならない。この手紙の冒頭で私は固く誓いを立てる所存であります。ペンネーム・ドロシーより。

 それはもうすばらしいの一言に尽きる、他の言葉でもって語り尽くすことは適わないのですよ、お分かりいただけたかしら。私の見解に目を通す皆さんはおそらく、突発的な不都合に見舞われない限り、何かしらの情報、アイラ・クズミ様に関する、動向の、いいえ、すべておいて、把握なさっているものと捉えております。隠すべきか、正直に述べるべきか、私は迷いました。いや、これも即座に否定に達する。ええ、アイラ様のライブに参戦してまいりました。まさに余韻が体に滞留しているそのまさに、公演直後に私は筆を執りました。不躾ながら、ライブ後のアンケート用紙にはアイラ様に向けた誠実な想いを伝えるために一枚と、手紙の便箋代わりにもう一枚を、普段の私では決して表出を拒む性格がずうずうしくもその意見に従ってしまったのよ。初めての観戦が考えられるもっとも正確な意味づけでしょうね。寛大な目で判断してください、とはいいません。罵倒は大いに結構、覚悟はできております。この会からの追放も甘んじて受け入れましょう。しかし、私には一世一代の掛けに踏み切る理由が、それも確証に満ち満ちた理由がライブ後に存在し、決断を迫られたことは言及しておくべきかと存じます、とまあ、そのように思い至り、無礼な紙の搾取を臆面もなく、断行してしまった。隣席の、頭頂部を帽子で隠した中年の男性には睨まれてしまいました、書き損じの嘘を彼は見抜いたらしい。