コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

黄色は酸味、橙ときに甘味 7

「では、自殺ではなく他殺と考えてますね」

「早計です。三件とも犯行を見られていない。一件目の方も犯人と思わしき人物を見てはいましたが、犯行は既に行われていた、二件目は目撃者が走り去る白いバンを見たが、犯行の瞬間は目撃されていない。そして三件目のレンガ倉の人物もこちらもまた、犯行は目撃されていませんね?」

「はい。ライブ翌日の夕方です。翌日は観光名所としての営業が再開、夕方の閉館から見回りの数十分間に、……殺害された死体が突如として登場した。死亡推定時刻と血液量から発見現場で致命傷を負った、との鑑識の報告です」

「宮崎は割合仲が良くて、鹿児島は仲たがい」アイラは警察の対面を指摘した。

「お恥ずかしいですが、そういった慣わしなので」

「国民に意見を求めるまえに、もっと正すべきことがあるのですね」

「返す言葉も見つかりません、ごもっとも」

 長い灰を落す。筒の中の小さな闇。遮断。

 命を絶つ覚悟か……、アイラは立ち上る煙に眉をひそめて怯むことを忘れたかのように、見入った。たまにこうして時間が止まるのだ。昔からの癖。よく人は平然と物事を把握できるものだと感心した時期が懐かしい、未処理のまま整理を施す機能と知ってからは、かなり人への見方が変わったし、彼らが行う活動の意味の大半がそれで説明を賄えた。止まることへの多少の躊躇いが消えたのもそれからだった。