コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

赤が染色、変色 1

「当てが外れたんですかね」内ポケットに手紙を折りたたんでしまい込む。折れ線は気にしていない様子の土井である。三件目の手紙はバッグから見つかった。それはファイルに挟まれていた。

 ポケットに入れる時間がなかった、つまり予めバッグに忍ばせておいた。

 しかし、それではファイルの存在に持ち主が気がつく状況も多分に想像される、アイラは土井の短く整う後頭部を穴が開くように見入って、追及の手をやめない。意思に反して、頭が働き出す、回転が始まった。やっと体が起きたのである。

 すると、手紙は事前というよりも殺害直後にバッグに忍ばせた可能性が高い、といえる。

 いや、待てよ。死体が作り出された状況下でなおかつ手紙を残す必要性はかなり危険な行動に思える、二件目は教会内の駐車場、しかも時刻はまだうっすら視界が確保されていた夕刻の時間帯だ。

 だがしかしだ。アイラは更に考えを改める。続々とアイラの内部で情報の更新が止まない。

 バンの立ち去りをあえてみせたとしたらどうだろうか、つまり殺害に至るまで、他に意識を向けていたら。……たとえば、上空を這うヘリや飛行機。飛行機の発着場が近隣にあったはず、確認作業は警察の専売特許、私の役目ではないし、そこまで義理立てた親切心はいざというときに取っておく。当然ツアーを行った会場が死体発見及び殺害の現場と断定された、関わりを覆す困難に拍車がかかる。けれども、私や関係者が犯人という可能性はかなりの割合で低いと見なされる。身内だから、そういった感傷的な条件を一切省いた見解である。

 私がそのような人間に見えたら、低俗な思想だ、アイラは首を振った。

 人のことなど所詮、身近で長期間過ごしたとして、わかりきれるものではない。私のように性質は更新され続けるのだし。