コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

赤が染色、変色 6

 山を降り始めた時刻が午前十一時半、すこぶる快調、彼女はブラックコーヒーを飲みながら、峠道を降りた。そこからは一時間もかかっていないだろう、渋滞に捕まらなかったら到着は二十分は早かった、だけど怒りは自然と不思議とどうしてか静まるの、理由はわかりすぎるほど身に覚えがある、三葉は大分コンベンションセンターの駐車場でバシバシとハンドルをにやけ顔で叩いた。

 車内のシートに収まる。

 しばらく妄想を膨らませ、期待に胸を膨らませたのだった。

 その後、会場内で食事処を見つけ、彼女は一人食事を摂る。そばを食べた、消化が良くて、しかも普段食べ馴染んだ食事。天ざるを選んでしまうのが玉に瑕、爪の甘さと突っ込まれるだろうけれどね、私だって野菜のみのてんぷらを選んだのだ、彼女は独り言を飲み込んで、一人黙々と食事に興じた。一人浸る空間、同じくライブ観戦のお客で店内はひしめいていたのに、話し声は聴覚が壊れたみたいに通り抜けてくれた。ひとたび物事に熱を入れる私は周囲の雑音と縁を切れてしまえるの、誰もが私はその反対に気を使い、不要に疲弊してしまう性格に思っているだろうな、隠してたので、それはそれで正しい認識と言えるわ。本心は違うのよ、まあ、裏か表かの判別はもう既にあいまいな領域を迎えてしまっている。

 ぐるっと腹ごなしにセンター周辺を見回る、雨は小雨程度に弱まった。人気が少ない館内は散歩に適していた。展望塔がメーンの観光地らしくて、けれど足早に通り過ぎる人たちは建物の高さにまったく靡いていない様子である。小腹が空いたときのために、売店で携帯補助食に水とお茶をそれぞれ一本ずつ買い込んだ、松田三葉は建物を出る。さすがに気温が下がる、海風が吹いて体感温度はかなり低く、身に染みた。