コンテナガレージ

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単一な黒、内面はカラフル 1

『あなた方へは労力に対する敬意をお辞儀で支払う。もっとも、私が捕まるつもりでこの手紙をしたためたことと勘違いされるのは、不本意極まりない。予測はしていたけれど、現実に起こる可能性は万に一つの割合に思っていた、まあ、そのわずかばかり、すずめの涙が実際目の前であなたたち警察が黒色の便箋に顔を寄せてしまっているのだからね、予定調和とは崩れそうな橋を自分が渡りきれたらもうけもの、いや崩壊などありえないと、高をくくった自分を呪う。さて、いかにして、私が逮捕に至る過程、すなわち誤って道を踏み違えたのか、じっくり精密に順序立てた一連の流れというものを教授したいと、思う。一段と注目が集まりましたね、警察の取調室はテレビで見るよりも、幾分、いいえ、非常に清潔だ。内見に訪れた殺風景でのびのび広く映る錯覚の一室に似てる。あくまで想像です、おかしいですか?少数には理解してもらえる感覚だと自負します、たとえば、妄想や理想がすべて想像、それも最上位の非現実であることに、この世の常識は納得の立場をとるのか否か、という曖昧なスタンスでありながら、比較的突飛な言動や人物、立場は許されてしまう。そう、だから、この状況を予め思いついた私にとっては現実になりうる、単なる夢や近時の将来に過ぎなかった、とこのように言えるのです。長々、話す人種と思ってもらっては困ります、今現在の私は口を噤んでますから、名前と住所それと身元を証明する物を素直に提示しましたので、私の概要はほぼ理解の範疇にある、あなた方の立位置と距離の定まった場所からつかず離れず、地面に突き刺す支柱につながれて、手紙の解読・読み終わりを待ちましょうではありませんか。ところで、私が捕まった理由とやらは、言わずもがな所持する五通の手紙、と推考できます。次が私の順番だったので、そう説明をしても、今日中に釈放とはならないでしょう。こればかりは、自筆の手紙を書いた、わずらわしさに負けじともう一通を書き終えた私に賞賛の拍手を送ります。なにぶん、手紙というのは生まれてこの方、書いた試しがないものですから、何をどう書けばよいのか、書き出しに手間取って、もう散々悩みました。古い映像では、原稿用紙を丸める行動が惜しげもなく誇張された表現として採用されてます。あれは環境悪の対象になりかねない。無駄遣いの良し悪しはこのくらいに……、ではでは本題に入ろうではありませんか