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単一な黒、内面はカラフル 2

ええ、もうお分かりでしょう、データの観測がたまたま事件と対象を捉える、その点において共有性を帯びた、単にそれだけのことです。納得がいかないようですけれど、私は警察でも探偵でも、まして小説に登場する人物の明快な回答は持ち合わせない、そればかりか、事件の全容とあなた方関係者の理解度のはるか下方に、情報量という点では位置づける、無縁に等しいともいえます」アイラは、息継ぎのために言葉を切った。そして続ける。「彼女たちが手紙により、互いの意思を確かめ合っていた。その間柄に日常生活の顔を表に出す必要性はまったくなかった。架空を生きた彼女らは、行動を引き起こす動機の一役を担ったに過ぎない、複合的な人間の仕組みが強烈な意志によって突き動かされるのは非常に稀なことで、通常はこつこつ溜め込み積み上げた意志が膨張に耐え切れなくて外部に漏れ出る……。彼女たちの一人が犯行に及んだ理由を詮索したとして、明快な回答を期待すること自体が誤り、事実と真実とは私たち見分けはつきません、当人でも、はい、既に境目の溝は削れて埋まってしまっているでしょうしね」