二週間後。
スタジオに雑誌が配送された、バイク便である。事務所に届き、アイラの所在地へ送られたのだ。
モノクロで一回り小さな彼女がいつになくこれまでを失った顔で笑っていた。
過去の話。
離れたギターに詫びを入れて、次の楽曲製作に取り掛かる。
デスクの椅子につく、ストラップを肩にかける前に、数秒前の過去であるコーヒーを思い出し、ローテーブルのカップを手に取った。
アイラには熱くて飲めない。
今なのに、と立ち上る湯気が文句を呟いていた。
熱を放ち終えた、過去の液体を好むことだってある。彼女はそっとカップを置き、手を止めた製作に戻った。
また、一人に戻る。
ここは私に似ている、とても。
中腰でPCの画面に向かう、録った音を聞いた。
ヘッドフォンを通じた声はすっかり色あせて、できたてを捧げた。
完