コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

熊熊熊掌~ゆうゆうゆうしょう 4

 フロントの受付裏に休憩室、更衣室という僕ら係員の居所はこんな配置。出入り口は真ん中の休憩室と駐車場に繋がり更衣室は一つ前の休憩室とのドア一枚と室内に男性・女性用のロッカーに入るドアを各一枚備える。休憩室を出て正面に男性陣の更衣室ドア、左の奥まった位置に女性陣のドアが設けられてる。二室は床から天井に隙間なく壁が這い、各小部屋に小型の空調設備を備える。こっそり一本ぐらいなら煙草の煙を取り去ってくれるんだ。
 
 手が疲れてきた、文字を書くなんてこの頃は書類にサインをするぐらいしか思い出せない、まったく書き出した手前後戻りはこの文字数だ、焼けになってのかなぁ。迷いをええい、ふりきれ。兎に角終わらせる、これが先決先決。
 
 はっきりさせてやる、上階に上がった。明け方三十キロほど内陸のS湖へ釣りに出かけた連泊のお客様の戻りは遅いはずだから館内は静寂そのもの。館内の出入りは常にフロント前を通り、しかもホテル内の出入りは車両移動を宿泊要綱に盛り込んである。自家用車やレンタカーの利用以外の宿泊客はタクシーを呼んでホテルから周辺の観光地へ出向く。外出を好むお客様は希少だろう、ほとんどホテル内で休む、自室にこもる。仕事に打ち込む様子も見受けられる、騒音の苦情はこれまで一件も寄せられていなかった。騒音主への伝令は研修のシュミレーションでもっとも嫌われた訓練だったが、ふたを開けるとあれは実際に起こらないことまでを強調し、要するに軍隊とかの過酷な状況下でも耐えうる事前の耐性を植えつけた、と思えるんだ。