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兎死狐悲、亦は狐死兎泣 5-1

 あいつが来る、追いかけてくる、追いつかれた!
 動けなく手足を縛られた。やめろ、やめてくれよ!聞こえていないらしい、仏頂面は黙々プログラムに従うみたいでどこか機械を髣髴とさせる。
 半分、遮られる視界。まさか、そのまさかだ。ここをどこだと思うのだ、連想ゲームはものの数秒、お見事、優秀、偉くもないぞ、こんな非常時に。
 あぁ死ぬのか、短い人生だったよ。重い、重いよ。ひどく無残で惨めな死に方じゃないかよ、これはさ。もっといい死に方とはそれじゃあ一体なんなのさ。……たとえば還暦を過ぎてリタイヤ、第一線を退くね。それってつまりその年齢に達していると自分は何かしら偉業とはいえなくてもそれなりの功労を湛える功績を残しるのだろう、という達観、それとも楽観かな。なぜ言い切れる、無駄に時間を悪戯にやり過ごしてしまうかもしれない。未来は現実から見た先の世、未来はいつもそうやって理想を背負わされる。現実に鞍替えするとそれはたぶんね、理想とはいえなくなるんだな、目先のすぐ寄り添う今を掴んでどうにかこうにか取り合わなくてはさ、たとえいかにも偽善たらしい仮面をかぶって作業に勤しもうと、抗えないのさ、未来をその道の先に見出しているんだもの。
 誰かがしゃべりかける、子供みたいになれなれしいぞ。しかも、な、んだか的確に僕の心中を言い当ててもいる、何発かは的をはずしてるけれども、ね。くっ、重い。見くびっていたよ、こんなにも、重力が偉大、だなんて。地面に張り付つく、喜ばしいよ、けれど程度ってものがあって、やっぱり程々が肝要なのだと思う、いま、さらなが、ら。あっ。