コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 3-3

槌をタオルで巻き意識を失わせた、不意打ちですからよける暇もなかった。そこへ兎洞さんが居合わせ有様を視界に捉えてしまう。もしかすると彼女も同様の仕打ちを受けていた、視覚欠損の秘密を握られていたのかもしれません、ゆすりですね、ぱっと女性二人に意志が通った。自ら体験しては二度と作業には戻れない、かねてより像内部の空洞化は彼女自身が中に入る計画を進めてはいたのでしょう。ええ、宿泊者の命は尽きた。直方体の札幌軟石を包む緩衝材、一つ前の運搬用のごみを安部さんは捨てずに残しておいた。事件当日、死体発見の前後で欠片を発見、見ていた宿泊客および係員の報告はありません。おそらくかき集めて屋外に持ち出す袋なり容器を携帯していた。像は半分以上が石塊に成り果てる予定、運び出す際にフロントの台車を借りていたことと思われます。死体を生み出す、安部さんの作業場でしょうか、居場所を守るため方や舞い込んだ理想実現のまたとない機会、はやる気持ち、主導は安部さん。人体の構造には精通、表面だけではのっぺりと魂の抜けた人の形にしか彫りあがらない。吸盤は記憶力に長けた家入さん立会いの下、分かりやすく製作中の像、そのの脇に業者が置き忘れた。ホテル側に強気の態度を示さずにいたのは、立ち入った捜査に打って出た手前停滞気味の状況を打破しなければ申し開きができない、警察はリスクの大きさに及び腰になった、皆まで言う必要があるのですね、証拠品、犯行を裏付けるにはそれ一点では決め手に欠ける。置き忘れた業者の吸盤を、警察はあえて見逃した。おまけに引き上げたマスコミが再度取材攻勢に出たときの執拗な常軌を逸した滞在費用分の元を取るより躍起な求め、に対する曖昧な受け答えは到底、彼らを鎮める納得には至るはずもないのです」家入は席を立った、日井田女史の推理に訂正箇所は見当たらず。兎洞はひとしきり考えた末、彼に遅れること数十分後に立ち上がる。室田幸江様はその数分後煙草を嗜んだ後お部屋に戻られ、室田孝之様と十和田さんと私とが残りました、十和田さんはカウンターに席を移ります。理解が追いつかないので時にペンが止まり、日井田女史は私の稚拙な問いにも快く応対してくださる、彼女の本質は儚いほど透明なので蓋を閉じる、漏れる明かりに図らずもたいそう遅れて気がつけたようでした。それくらい吸い込まれる振る舞いだった、と書き残さずにはいられないのです。彼女が述べた情報に基づく推測に異論はあるでしょうか、問いかけたのは情報を制限したあなた方の処遇について疑念と納得のいくご回答を、と思った次第ですので、後日文書ではなくこちらに赴き直接お話を伺う場を設けるべきかと失礼ながら進言致します。