コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

店長はアイス 恐怖の源3-4

 料理が届いた。カレーである。欧風でも日本のカレーでもない、スープカレーである。手を合わせて食べる、本を裏返してテーブルの端へ。読書は一休み。骨付きのチキンは、ほろほろと解けるぐらいやわらか。ライスを掬い、スープに浸す、チキンも添えて。スパイスが口に広がる、舌を刺すような下品な辛さとは別物。出汁やコクとも違う風味と香りは初めての出会いであった。特別高級な材料を使用していないのにおいしいというのが本来の料理の真髄なのだろう。もちろん、食材によっては希少性や生息地の関係でどうしても提供するが上がってしまうが、それらを使わずともおいしさを引き出してこその料理なのでは、そう紀藤香澄はしみじみ思う。それに、家庭で主婦にもてはやされる簡単で、手軽に作れるる料理は、どこかおいしさに欠ける。忙しいから、面倒くさい。誰のために作るのか、それを選んだのはどこの誰か。昨日見たテレビ、電子レンジだけで作れてしまう調理法の紹介で納得するお客や出演者が思い出された。少し前までの私がそこにはいた。たぶん、前の私ならなんとも思わなかっただろう。

 ライスを掬ったまま意識がとんだらしい。良くあること。運転中もたまにある。危ない。ナスとかぼちゃの素揚げを頬張る。ナスは漬物の印象、かぼちゃは煮物かバーベキューで焼くぐらいしか調理法は浮かばない。揚げただけでおいしいとはまた新たな発見である。それからは無心で食べ進め、店内にもお客が増え始めた。がやがや、喧騒が聞こえる。水が無くなるまで本の続きを読んだ。