コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

店長はアイス  過剰反応1-2

私がほとんど真実を言っているのにずるいわ。これが現実で社会で縮図。嘘つきなんだ。今頃知ったの?うん。そう、大変だったね。うん。疲れた?ううん、大丈夫。あなたらしくね。私らしく?そう、問いかけて私に。それって私でしょう?ああ、そうか正解。なんだ、クリアね。透明ってこと?明瞭ってこと。そっちか、難しいよ言ってることがたまに。ええ、でも全部あなたが経験した事よ。そうなの?忘れているだけ。どうしてうまく使えないのかしら?自分に聞いたら?聞いてる。そうか、これまたごめん。あれっ?なんだか立場が逆転したみたい。どっちだっていいのよ、上下の概念は私にはないんだから。そうだね、これならいつも上でいつも下だし。左右を決めちゃダメよ、前後ならいいけど。鏡と一緒ね。ほら前を見て、赤信号。わかってるって。
 開店前のお店は既にお客がずらりと列を成していて、炎天下に備えて帽子やらハットやらタオルで日差しを遮る用意まで施す熱の入れよう。紀藤香澄も列に加わる。お客は二人連れが多いだろうか。それでも、聞こえてくる内容は気にならない。私はバッグから文庫本を取り出して読み始める。一行目で物語りに入り込んだら、おもしろくてはらはらして列が動き出すまで音は私が奏でた緊迫感のあるBGMが支配してくれた。
 畳の座敷、久しぶりに嗅ぐ、匂いだ。餃子定食を注文、料理が届く間もそよそよと流れる風に身を任せて南国風の窓には風鈴がなびいていた。風に見惚れていると店員が料理をテーブルに並べた。早速、食べる。醤油にお酢、ラー油を少々。一口で肉汁が溢れると思いきや、野菜、キャベツか白菜の食感も噛み応えにアクセントを添えて楽しい。ほころんだ顔がもし仮に私の対面に相手がいたらと思うと、いいや思わなくっていいんだ。一人の私を卑下するのは終わりにしたんだ。おいしいと言う共感だってそもそも同意ではなく、単なる感想。言いたいだけ。一人でも声に出さなくても感想はいえてしまうと、もう何も怖くない。怖い?何怯えていたの?知らないよそんなの。怯えていたことすら忘れるんだ。