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店長はアイス  過剰反応3-5

「わかった」ここでは明らかな溜息を熊田はつく。「相田には他殺の線、とりわけ股代修斗の犯行を最有力候補として調べてもらう。あと、鈴木と常に行動を共にすること。単独の捜査は認めない」

 凝り固まる表情筋の一部、頬が軽く痙攣を起こして、相田はかろうじて安堵を浮かべる。それでもまだ安心にすべてを投げ出すことを拒むように引き続き厳しさが顔を支配した。「ありがとうございます。早速、捜査に出ます」

 相田の行動を止める。「明日からでいい。今日はもう遅い。帰れ」

「しかし、まだ、六時にもなっていません」

「うちの稼動人員は四人だ。いつもいない部長を入れると五人だが、あの人は見込めない。少数でなおかつ長期間も視野に入れた捜査には休息が必要であると、教えてきたはずだ」

「はい。ですが、やはり……」

「殺人の予告状は届いていない。自殺かもしれない。急ぐのは、慌てるのはいつでも状況がそうさせる。今は、鑑識の結果を待ち、備えるのが鉄則で鉄板で、これは私の嫌いな命令だ。お前の要求を呑んだんだ、こちらの言い分も聞くべきじゃぁないのか?」上目遣いで熊田は理解を促した。

「……そうですね、はい」葛藤の末、相田は感情を押し込める。

 片目をつぶった熊田が言う。「種田に厭味を言われる……。おまえ、なんとかしてくれよ」

「私がですか?」相田は太い人差し指の先を自分に指す。「……あいつにコーヒーをおごります」

「あざとい」

「鈴木みたいに当たったと言いますから」