コンテナガレージ

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店長はアイス  過剰反応5-3

「商品は誰が買うんだ?」

「男性です」副室長は呟く。

「君は買うかね?」

「……」無言、日本語を忘れてしまった、あるいは適当な言葉が見当たらない副室長である。

 大嶋は付け加えた。「もちろんデータは信用に値する、その通りに倣った商品が売れることも否定しない。だが、それではお客が蚊帳の外に追いやられているとみえてしまう。お客はお金のなる木そのもの、君の瞳は円のマークでいっぱいだ。もう一度、テーマを練り直すべきだ。……間違いではないと、念は押しておこう」

「ターゲットは私より下の年代、私の嗜好は逆に言えば障害になると感じたからこそ、新しい感性に受け入れられやすいテーマを提案したつもりです」

「表向きの嗜好ばかり追いかけていてはヒットする商品は生み出せない。核を見つけるべきで、それは見つかればいくらでも転用できてしまう優れものだ。君の嗜好にも必ず共通性があるはずだ、模倣や流用からは手を引くんだ」

「冗談はよしてください」

「この顔が不真面目に見えるのか?」

「だって、大嶋さん。他者に対抗する施策は奇をてらうか、高品質に特化したスタンダード商品しか残されていないのが現状ですよ。大手は資金力に物を言わせて手当たり次第、畑から作物をもぎ取っていく!」

「後者が無理なら、前者に可能性を見出すべきだ、そうは思わないのか?」