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店長はアイス  過剰反応8-3

 二人のやり取りを傍らで聞いていたあきれた鑑識の女性がきつい口調で言った。
「遊んでいるのであれば、死体を車に運んでもよろしいですよね?」たじろいだ鈴木が頷く。彼女はもう一人の鑑識を呼ぶ。「ちょっと、後ろ持って。さっさと動く。こんなところで時間をくっていらんないよ」
「なんだあいつ?感じ悪いな」立ち上がった相田は額の汗を拭いて、呟いた。
「そうですかね、僕はわりと好きですよ、はきはきとしたタイプは」
「誰もお前の好みは聞いていない」
「はあ、どうしますこれから一応、熊田さんには報告を入れますけど」
「発見者は遠足で港を訪れた小学生だしな、ああ、今日はとことん運が悪い」
 鈴木は端末を器用に右手で操作した。「これでよしっと。熊田さん、携帯の電源切っているみたいですね」
「種田は?」
「繋がりません。メールで報告しておきました。さてと、子供たちに話を聞きますか。遠足ですからね、あんまり引き止めても彼らにも予定があるだろうし」
「お前、聞いてこい」
「ええっ、僕だけですか?」
「文句あるか?」
「僕もいつか先輩の特権ってやつを使ってやりますからね。いや、ダメだ。僕は尊敬されるんだから、相田さんみたいな人使いの荒い横柄な態度は控えようっと」
「いいから早く言って来い」
 子供たちは引率の教師二名の指示に従って暑さを耐え凌ぐために壁際、高台が作り出す日陰に隠れて、日差しの脅威から逃れていた。遠足につきものの水筒を口につけて飲む姿が見られる。先に生徒から聞きだすと混乱を招く恐れがあると考慮し、鈴木は最初に教師に話を聞くことにした。ほっそした女性、つばの拾い帽子を被る引率の教師に生徒から離れた場所で詳細を尋ねる。