コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

店長はアイス  死体は痛い?5-1

 相田、鈴木が引き返した先は大嶋八郎の会社、breakfastであった。会社はS市中心部に近い場所にあるため、約一時間の運転を二人は余儀なくされた。高まる車内の湿度は相田の重すぎる体重の影響によるところが大きい。乗りはじめこそ、暑さで汗が止まらない鈴木であったが、車を降りたときは冷え切ったからだが外気の生ぬるい強風に晒されて真冬の冷え切った体を湯船に浸けているようであった。二人は部長の命令に従い、道を引き返した。この部長というのは幽霊みたいな存在で、一応熊田のさらに上の役職だが、いつも署に姿を見せない。ただし、休んでいるのではなく、何かしの業務は請け負っているらしい。たまに席について外を眺めていたりもする。しかし、具体的な仕事の内容は絶対に教えない部長である。公安やその他警察庁や警視庁直属の指令で行動を許されている、と噂も聞いたが、どれも信憑性にかける。たんに、親戚筋に警察で権力を持つ人物がいるのではないのか、と鈴木は思う。国の機関、地方の機関とはいえ、結局は会社であり組織なのだ。

 暑さと寒さの狭間で揺れ動く鈴木を尻目に相田はつかつか、先を急ぐ。受付で大嶋八郎が所属していた食品開発の部署を尋ねた。

「部長も事件に一枚かんでるのかぁ。上層部の静かさが怪しくありません?」鈴木は相田に囁く。受付の女性が案内を買って出てくれたのだ。通常の訪問客ならば階数と部署を告げる、あるいは訪問客が到着したと担当の人間を受付に呼び寄せるかだろう。警察の訪問しかも死亡した人物の調査である。会社と無関係、そう割り切る外部の人間は少数だろう。ほとんどは口に出さないまでも、たとえば取引先が契約の再検討、見直しを行う事態の変化も当然の成り行き。定常は困難。会社は常に変化する生き物なのだ。内部の些細な変化が後に全体に及ぶ可能性は否定できない、鈴木は歩きながらぼんやりと会社の内情について考え及んだ。