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店長はアイス  死体は痛い?9-1

 一時避難間場所にて敵の出方、追跡の有無に神経を尖らせた鈴木と相田は立体駐車場を後に、熊田たちとの合流地点に急ぐ。相手の正体がわからない以上、警察内部に助けを求めたとしてもそこまで息のかかった連中なら糸を張り巡らせている。上司の熊田と種田は、権力や組織の圧力とは無縁な位置づけで職に就く。二人が鈴木たちを襲った敵方、という可能性は考えるまでもなくゼロに等しいだろう。車はO市を目指す。交通量が多くても信号の少ない道を相田はドライブする。どうして俺が運転手なのかと、運転席に自分が乗り込んで怒るのだから、始末が悪い。しかし、フラストレーションを言葉に換えて機嫌が軽減するなら、と鈴木は相田をなだめて助手席に収まった。

「後続車に注意しててくれ、いつ襲われても不思議じゃないぞ」相田は真剣さを響かせて言う。

「僕たち本当に狙われたんでしょうか?」

「銃で撃たれてその上、それ弾丸で車が宙に舞った。映画じゃない、現実だ。俺たちは捜査をしていた。無関係と思えるのは楽天家ぐらいだろうさ」

「捜査員を殺せば、その事件に不信感を持つとは思わなかったんでしょうか?僕たちが仮に真相に行き着いていたとしても、熊田さんと種田が残ります。二人が捜査を継続するって考えなかったのかぁ」鈴木は襲撃のショックを簡単に忘れていた。二件の死亡事件を思い返すと拍動していた無駄な心臓は音が気にならないほど安定していたのだ。自分たちの所在が知られている、つまりそれは公的な、あるいは私的な機関で調べがついた証拠。警察の人間が現在何を調べているのか、それを把握している。だから、襲った。まあ、何も知らされず任務だけをこなしている場合もある。ただ、命令系統の一番上は情報を握っているだろう。やはり、事件の真相に自分たちが近づいているから?鈴木は思った。