コンテナガレージ

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店長はアイス 幸福の克服1-1

 六月一日。休日、見過ごした部屋の汚れに別れを決意、掃除に踏み切る、溜まった汚れをかき集め、ふき取り、吸い出し、壁、床、水回り、ドア、家具を磨きあけた。雑誌を梱包用の紐でまとめる。燃えるゴミは明日、資源ごみは来週まで回収日はやってこないか。紀藤香澄は、玄関から室内を振り返る。片付いた部屋にまとめたゴミは不釣合い。どうしようか……。燃えるゴミは明日の朝、それまでは我慢できるが、来週まで雑誌の束を見てみぬふりはできそうもない。そうだ。古本に出そう。雑誌も買い取ってくれるはずだ。もしも不要なら店で処分してもらえば良い。

 クローゼットを探り、適当なサイズの紙袋を探す。紙袋はすべて店のロゴが入っている。決して、ブランドの紙袋ではない、だって見せ付けるための袋には無関心だから。手ごろなサイズを見つけた、袋に手を入れ、空間を広げる。大丈夫そうだ。歩いて十分程度の距離だから、おそらく底が抜ける心配はないだろう。縛った紐は結局解いた。店側の手間は省いてあげた。平日の午前。まだ、正午まで数時間もある。

 朝方の天気は曇りがちで青空は窓から見える範囲で微かに一部が覗く程度だったのが、現在の見上げる空はどこかしこも疑いようのない晴れが出迎えていた。押しボタンの信号機、自転車を降りた女性が待っていた。黄色に信号が変わる。タイミング良く、信号を渡れた。気持ちの良い風が吹きぬける。小学校のグラウンドを右手に土の平面で覆われた公園を突っ切る。アスファルトと土が半々の空間。アスファルト部分はおそらく何かしらの駐車場の名残だろう。スピードを上げて車両が通過する道路を斜めに横断、住宅街に入る。一時停止の多い、かつての新興住宅地。縦に通過の優先権があっても十字路の左右はどうしても確認してしまう。臆病なんだろうか。そういわれれば否定はしない。しかし、何も考えていない人には言われたくない。私の予測によって幾度相手が救われたことか。けど、相手は覚えてはいないんだろう。今を生きてるから。過去は忘れた。一瞬一瞬を大事しているから。バカにするな。振り回されるこっちの身にもなれ。あけすけな態度は受け入れる人の度量によるのだ。私だって、見つけて欲しいのに、と紀藤香澄は体内で囁く。