コンテナガレージ

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店長はアイス 幸福の克服2-1

 art departmentの店内へ。お客の数はちらほら。刑事たちは熊田を先頭にレジに並ぶ。お客が買い終えた所で股代の所在を尋ねた。奥の倉庫に向かう、熊田は案内を断った。ドアを抜け、目的の人物を見つける。
「股代さん」熊田は肘をつく股代に声をかける。股代はゆっくりと驚きもせずに、応対。
「これは、これは刑事さん。今日はなんです?勢ぞろいですね」
 熊田は写真を取り出す、テーブルに貼り付けるように置いた。後方に三人の刑事が待機。温度管理のためか北国にしてはめずらしいクーラーの冷気が風のカーテンを運んでくる。「このグラスはこの店で取り扱う商品ですか?」
 股代は事件との関係性を熊田の態度それと他三名の無言の圧力によって感じ取ったのか、しまりのない表情から、眉間に皺を寄せて提示された写真を眺める。三枚の写真は、湯のみ、グラス、マグカップ。大きさがわかるよう鉤状の定規が傍に映っている写真だ。思い出す仕草で股代は斜め上を眺め、腕を組んでみたり、あるいはまた席を外してファイルを取り出したり、PCを開いてなにやらせわしなく調べる。
「ええ、うちで取り扱う商品ですよ。ただ、この湯飲みとマグカップは現在、店頭での販売は終了しています。期間限定で売り出したもので手作りの作品です。他を探せばこれと同じ種類の商品は買えるとは思います。マグカップは……未使用の中古品ですね、売り出したのは確か一年ぐらい前でしょうか、発売一ヶ月で在庫はなくなって、まあ、個数もそれほど多くはありませんでしたのでね。グラスは、はい、うちの商品です。といっても、自社で作っているのではなくて、取引先の企業と共同商品です。これが、……なにか?」
「見覚えがあるのですね?」熊田は念を押す。
「ええ、まあ、でも店員なら皆覚えていて当然です」熊田、それに他の刑事の顔をうかがう股代。「なんですこれ?」
「大嶋八郎という人物を知っていますか?」
「おおしま……、いえ、思い当たる人は浮かびませんが」
「こちらでそれらの商品を買ったのが大島八郎という人物です。先日亡くなりました」
「話が見えません。てっきり僕は、紀藤さんの事を聞かれるのだと、違うんですか?」