コンテナガレージ

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がちがち、バラバラ 2-2

 午後。店の予約状況を鑑みて、従業員が続々、休憩という名の栄養補給になだれ込む。ほんの一時間ぽっきり。これでも美容師としては、長い時間の休憩に値する。週末はほぼ休憩が与えられないと考えて妥当な試算である。しかし、ほとんどが予約制に切り替わり、キャンセルの電話もネットでの予約状況確認システムを導入してからは、受付にいちいち手を取られる時間、労力が削減できたし、またネットによる口コミと手軽な予約のシステムで新規のお客が導入後には以前の一.五倍までに増加した。予約まで一時間をきると自動的にキャンセルができない仕組みを取り入れている。そのため、キャンセルをキャンセルする電話連絡が日に二、三度ある。予約のたびに中断する手間を考えたら、なんてことのない対応は、従業員にも好評だった。従業員には臨時のボーナスと定休日前日に連動させた休日も与えられた。経営は順調そのものだ。ひとつ不満を言えば、私は独り身であることぐらいか。これは、まず切迫した状況ではない。生きるための私が選んだ道だった。二人の生活も考えなかったのではない、相手もいたけれど、かりそめの生活も数年は経験をつんだ。それ以降は、結婚適齢晩期に家庭に入ることを強く勧める人と付き合う、何人か。そのつど私は断り、私を主張し、別れて四十代に突入していた。この仕事はかなりの重労働である。若い間の蓄積が降り積もり、庇から雪の塊がずり落ちるのがこの年代。左肩の使い方が私は悪くて、最近は肩が上がらない。家に帰るとまったく使い物にならないが、翌日はまた気を張っているのだろう、店に立つと自然と肩は記憶された道筋を通ってくれる。他人を思いやる、愛した好きな自分を投げてしてでも共に生活を望む人への昇格を拒んでいるのかもしれない。好きでいていくれる相手以上に私は私をおそらくは優先する。完璧に百パーセントでなければ納得や同意、落とし込みは認めたくはない、いいや認められない。私はこの生活を継続させる、それに都合の良い相手の登場にもなびくかもしれないが、うん、たぶん切り捨てる。こちらから。仕儀真佐子は、片足に体重をかけ、受付、PCの画面を眺めつつぼんやりと頭の片隅で雑事をこねくりまわしていた。
 枯葉がひらり、自然を配した通りの街路樹から風の乗ってふうわり通過。外に意識を送ると、裏通りに面したガラスに、二つ人影。それらは迷わずにドアをくぐった。
「来ました」女性刑事は飄々とさも当たり前の雰囲気で単調な台詞を吐いた。
 仕儀は呆れるが、表情には出さなずにいた。片手をサイドに広げる。「どうぞ、そちらにお座りください」仕儀は入れたてのコーヒーをお客用のカップに入れて、窓の隣、一段高いフロアに運んだ。
「お構いなく、お話を伺いましたらすぐに帰りますから」男の刑事が先にこちらのご機嫌を伺った。仕儀はトレーを腿に乗せて一人掛けの椅子に座る。どうぞと、手のひらを返して二人の刑事の質問に答えた。