コンテナガレージ

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がちがち、バラバラ 2-3

「塗料を取った際に居合わせたのはこちらの店員とサービスを受けていたお客と思って間違いありませんか?」種田がきいた。

「ええ、そうです」

「以前に傘を持った人物を見かけたことは?」

「ありません」仕儀は言い切る。

「この顔に見覚えは?」一枚の写真がテーブルに提示される。仕儀は覗く。

「さあ、私の知り合いではありません。あの、この子が亡くなったのですか?」

「死亡したことは知っているのですね」

「だって、ニュースで報道されています。それに客商売ですよ、最近の話題には事欠きません」

「お嬢さん、こちらのお客のお嬢さんということは考えられませんか。髪は切らないが、親に付き添って、待っている」

「そういったお子さんはいます。でも、うーん。どうでしょうか、写真の子はいくつです?」

「十歳前後かと思われます」

「身元は判明していないようですね」形勢が逆転、こちらが優位な立ち位置。

「なぜ、そう思われるのです?」ビー玉のような茶色の瞳で種田が仕儀の発言を掘り下げる。

「この店のお客の子供なら名前を言えば、手がかりになる。違いますか?」仕儀は首をかしげて質問にきき返す。

 種田は目を細めて回答。「名前を尋ねなかったのは、この店の関係者が犯行に加担している可能性を見出したからです」顧客の家族に警察の捜査が及んでいるとと犯人が知れば、いずれは自分へ捜査の手が伸びる。そうすると逃走や次の強行に走る恐れが生じしまうのは警察にとって不利益と言いたいのだろう。

 明快さに驚きを携えて仕儀は言う。「可能性?ですが、それを私に話してしまったら黙っていた意味はなくなる」

 種田はゆっくりと瞼を閉じ、開く。「ええ、ただし、あなたが犯行に加担していないとの理解に及んだので、お伝えしたのです」

「当たり前です。お話が見えませんね。私はずっと店で働いていました、外に出る時間はありません。急になにを言い出すんです?からかっているのならお引き取りください」

「あなたが写真の子を少女だと断定したので、可能性から除外したのです」隣でむっすりと黙り込んでいた熊田という刑事が種田の発言の不足を補う。少女、写真のそれはどう見ても少女ではないか、二つに分けた髪も、肌の質だって。いくら子供でも男と女の肌質は写真であっても決めの細かさは子供のほうが顕著に差が見て取れる。