コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

がちがち、バラバラ 5-4

「かなりひねくれてますよね」
「なんか言った?」
「いいえ、だた、あまりにもスケールの大きな話に膨らんでないかなぁと思って……」詰め寄られ追求に屈する小川は、しどろもどろ、それでも言葉を返す。
「警察に証拠をもたらす行動力、原動力はつまりは善意でしょう。世間のために、今回は亡くなった女の子ためであって、決して自分にその善意がことわざみたいに回りまわって返ってくることを期待したって、前例も私にないし、警察から優遇を受けた事例も近しい人からの伝聞でもなかったわ。だったら、決まった二十四時間を私のために使いたいじゃない」
「帰り道の交番に寄ってあげよう、っていう気遣いは持たないんですか?」
「帰るついでだもの。本心ではない」
「ううーんと、はい、もう反論しません」
「店長、いつまで続くんでしょうね、捜査」国見蘭は小川から店主に矛先を向けた。小川に刺したナイフの先は切れ味鋭く、鈍い光を帯びてる。店主は矛先を受けながすよう包み丸め緩やかに気づかれない速度で刃が出ていることを自刃によって気づかせ、鞘へ誘導する。
「気を沿わせると囚われる。足跡を見つけたら、先が知りたくなる」店主は落ち着いたトーン、通常よりもいい含めるような声で出し方で話す。「問題は見てしまったこと。だったら、見なければいい。そして見つけようとする自我の鎮圧に意識が移動する。さらにまたその自我をと……、そう考えるともう何を考えていたのかを忘れてしまう。つまりは、それは問題とは無縁の単なる気の迷いさ。考えたかった、それだけのこと。魔が差すとは表現がしっくりこないけど、手が届く範囲の何かを目をつぶって掴んだ、確固たる感触が持ちやすかったのさ」
「明日になれば、捜査を切り上げて、いつものランチライムが嫌でもやって来ますって。鴨が葱背負って」
「安佐っ!」小川安佐は館山のお叱りを受ける。いっ、首筋に力、小川は亀のように首を引っ込めた。お客に対する不適切な表現を館山が嗜めた。それはいつかどこかで本人のあずかり知らぬところでひょっこりと、最高のタイミングで表出を余儀なくされる。かすかなミスではなく、そういった大舞台で事が起きるのは、普段のミスでは本人の知覚が伴っていない、だから影響が形となって現れるまではじっと潜んでいるように映る。本来、それらの兆候は何度も出現してる。
「今日のもう一品って何でしたっけ、値段同じだし、黒板も見てませんでした」そういえばという表情で国見が言う。
「鶏肉だけだよ、今日は」店主は即答する。
「競争させるのは中止したんですか?」
「一種類の料理に対するお客さんの反応を取りたくなって、思いつきさ」