コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

がちがち、バラバラ 5-6

「あっつ、とはい、ええ、もちろんです」彼女は上目遣い。頬が幾分ピンクに染まる。それも対象性のなせるわざ。色黒ならば赤みと判断するのは困難だ。
「仕事の合間に、こちらに買出しに来る時間は確保できますか。勝手に抜け出すのではなくは許可を得ての話ですが?」
「可能ですよ。皆さんもそうであるように、忙しいときは休憩にも入れないでしょう?だから、こまめに短時間の休憩でごまかすんです。五分刻みで交代に。そのときに裏で食べられる食事があったらうれしい。コンビニの商品もおいしいですけど、やっぱり食べ続けると飽きますし、種類や量に関わらず割と高めです。ついつい余計なものまで買って、月末はお金がないって若い子達はよく言ってます。定額で日替わり、短時間でしかも食べる場所を選ばない昼食はこの近辺で働く人にとっては大歓迎ですよ。噂で聞きましたよ、外でテイクアウトのランチを売ってるって」
「……封鎖に対抗した苦肉の策で、これは今回限りだと考えていましたが、うん、明日もやってみる価値はありそうです」
「店長!?」小川と館山の声が揃って届く。
「需要が見込めるとの判断は、決断力さ。大掛かりのプロジェクトではない、撤退なら明後日に平常へ戻せる」
「私たちはランチで手一杯で、ランチとそのぉテイクアウトを同時進行では作れません」小川の悲壮感に満ちた表情、かたやとなりの館山は加算される手順を仮想空間でシミュレーション。視線が斜めを向いている。
「一人で食べられないお客さんもいますから、潜在的な顧客は相当数を見込めますよ」女性は意見の通過を願って、念を押す。彼女にとっては好都合な願ってもない普遍的な昼食の変化なのだろう。
「……店長、本気みたい」国見がホールの段差で傾きを体感して、呟く。傍から見ればやはりまだ高校生に見えなくもない。
「食事はいつも何時ごろに摂られますか?」温めていた想いを打ち明けるよう、店主は羨望の眼差しで女性に尋ねた。女性は一瞬だけひるみ、しかし表情が崩れる。泣いているのではない。反対の作用だ。
「私ですか?三時とか五時ぐらいですかね、その前に小休憩は入れます」
「午前中にテイクアウトのランチが売られていたら、買いに来ますか?」
「忙しいですね、午前中は。でも、誰かに買いにいってもらう、ということは頼めるかもしれません。全員が店を開けなければいいわけですし」
「店長、熱心に訊いてますけど、もしかするともしかします?」席を立つ小川は回りくどい言い方を多用。
「そのつもりで質問をしている」店主は改めてお礼を述べる。「ずうずうしく聞いてしまって申し訳ありません」